
「大変だったけど、楽しかったです」――。そう語るのは、映画『ゴーストキラー』で単独初主演を務めた高石あかり(※「高」は正しくは「はしご高」)だ。本作は、一人の大学生・松岡ふみかの身体に、謎の殺し屋・工藤の霊が宿るという異色のホラーアクション。
ごく普通の大学生・ふみかと、体を共有する伝説の殺し屋・工藤。相反する二つの人格が過激なアクションと繊細な芝居の中で交錯する。高石は、その圧倒的な集中力と表現力で、静と動、二つの顔を見事に演じ分けている。初の単独主演となる本作で、彼女は何を感じ、どのように役と向き合ったのか。その言葉から、女優としての新たなフェーズに突入した高石の葛藤や覚悟に迫った。
――初の単独主演として『ゴーストキラー』に出演すると聞いたときのお気持ちは?
「まず、プロデューサーさんが、私が以前からすごくお世話になっていた方だったので、『また一緒に作品が作れるんだ!』という嬉しさが大きかったです。それに加えて、単独主演という形での参加だと聞いて、正直すごくワクワクしました。園村(健介)監督とはこれまでアクション監督としてご一緒してきたのですが、映画監督として関わるのは初めてだったので、その関係性がどう変化していくのかも楽しみでした」
――信頼できるスタッフと一緒に挑める現場だったんですね
「そうですね。いつも一緒に戦ってきたファミリーのようなチームと、初めての単独主演作を作れるというのは、本当に心強かったです」

――完成した映像をご覧になっていかがでしたか?
「正直、試写の2~3日前くらいからすごく不安で...ちょっと震えたりしてたんです(笑)。主演なのに、こんなに怖がっていてどうするんだろうって自分でも思うくらい。作品としてどうなってるのか、観客として受け止められるのか、いろんな気持ちが渦巻いて。でも、いざ映画が始まった瞬間に、全部どうでもよくなったんです。『なんだこの面白い作品は!』って、すぐに夢中になって。1人の観客として素直に楽しめている自分がいたんですよね。それが何より嬉しかったです。終わった後、監督が『自信があります』と言っていたんですけど、その言葉の意味が本当にわかりました。この作品は誰かひとりのための映画ではなくて、全員が全力でエネルギーを注いだからこそ出来上がったものだなって。そう思えたことが、心からの救いになりました」
――幽霊に取り憑かれるという設定の中で、松岡ふみかと工藤という、性格も立場も全く異なる2つの人格を演じるという難しい役柄でした。演じてみていかがでしたか?
「...もう、難しかったです(笑)。ほんとに大変なことだらけでした。でも、それ以上にやりがいや楽しさが勝っていた感覚もあって。台本を読んだときに『絶対にやりたい』と強く思ったんですけど、アクション稽古が始まったとたんに、『これ......できるのかな』って不安になって。たとえば、工藤として誰かを殴る、その2秒後にはふみかに戻って、またすぐ工藤にスイッチする。アクションしながら感情の切り替えを何度も重ねていくって、本当に脳がフル回転で。今までのどんな役よりも、役と向き合う密度が濃かったと思います」

――自分の中に、ふたつの人格を共存させながら演じるような感覚ですね
「そうですね。たとえば、ふみかとして発した言葉に自分が感情的に余韻を感じてしまうと、その後の工藤への切り替えにタイムラグが生まれてしまうんです。だから、ふみかとしての感情を一瞬で"消す"必要があって。現場に行くまでは台本でずっと練って、でも最終的には感覚でやるしかない。考え抜いて、あとは熱量とパッションで乗り切る。それがこの作品の挑戦でした」
――三元雅芸さんとの演技の掛け合いはどういうふうに作っていったんでしょうか?
「実は、三元さんが撮影のときに現場にずっといてくださって。自分の出番が終わっても、私の撮影を見守ってくれていたんです。それって指示されたわけじゃなくて、三元さんの優しさなんですよね。本当にありがたかったです。工藤って、私が演じているけど、実際は三元さんの"魂"が宿っているような存在なんです。だから、完全に真似をするんじゃなくて、でも声や佇まいから感じるニュアンスを大切にして、どこまで寄せていけるかを常に探っていました。工藤の魅力って、三元さんのまっすぐさや純粋さから生まれていると思うので、その空気感に寄り添うことを大事にしていました」
映画情報
映画『ゴーストキラー』
2025年4月11日(金) 全国公開
公式サイト:https://ghost-killer.com/
公式X:https://x.com/gk__movie
詳しくは
こちら
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