
(C)2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
コント職人として知られるジャルジャル・福徳秀介の恋愛小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』が映画化され、4月25日(金)に公開される。
独自の路線へ突き進む、最高純度のラブストーリーには萩原利久や河合優実、伊東蒼など、いま注目の実力派若手俳優たちが揃う。
今回は主演の萩原利久にインタビューを実施。映画内で見せた演技への思いから、自身の考え方までしっかりと話を聞いた。

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――原作となった福徳さんの小説もお読みになっているかと思いますが、最初に読んだときにどのような印象を持たれましたか?
「福徳秀介さんは芸人さんでたくさんのコントをされているので、コメディというかそういうテクニカルなものになっているのかと勝手に思っていました。でも、すごい失礼な言い方ですけど、めっちゃ小説でびっくりしました。しっかりとした人間の物語の中に言葉の使い方やチョイスが芸人さんならではで面白いです。知っている文字と見てきた言葉が、ここに来て初めての出会いになるというのは面白い着眼点だし、言葉の端々に面白さを感じました」
――その作品が映像化され、萩原さんが主演ということでどのような思いを持って撮影に臨みましたか?
「厳密には台本を先に読んでいました。極端なコント作ではないので、そこは変な気負いはしてなかったかもしれないです。振り切った作品で初ジャンルのものだと何か(思いが)あったかもしれないですけど、人の温度を感じられる作品だったので。いつも通りとまではいかないけど、ワンクッションはなかったです。それよりか、小西という役が難しかったです」
――難しかったというと?
「順番に撮影していくわけではないので、現場に行くまでに一本の線を作っておきたくて。現場の中で変わりはするけど、入口と出口くらいは作っておきたい。軸とも言えるかな。でも、小西に関してはどうにも僕の中では作りきれなくて、どれも正解な気がして不正解な気がしていました。その点で普段のやり方とは違っていて難しかったです」
――なるほど。難しい役どころに関してどのように対処されたのでしょうか?
「軸がない代わりにいろんなものを考えていました。パターンというか、何が来ても大丈夫なように間口を広げておく。あとは現場でキャッチしていく。小西は自発的に動くわけではなく、桜田さんの行動に感化されて行動していくことが多いんです。すべてを想像通りにするのは無理ですけど、俳優さんの動きをキャッチして動くようにしていました」
――それはやっぱり小西という人間にあまり共感できなかったということでしょうか?
「うーん、小西が思うことやなぜそうなっているかを理解はできます。わからないではないんですけど、単純に僕が生きてきた日常では取らない選択肢を取っているなと。ただ、演じる上で共感はなくてはいけないものではないと思っていて。理解は大事ですけど、共感はマストな要素ではないのかなと。じゃないと、自分の価値観に合う役しかできません」
――役作りが難しいとありましたが、小西のなんとも言えないさえなさを演出できているのはさすがだなと思いました
「(笑)。そこはさえないということを意識しないようにしました。キャラクター的な要素を作れば作るほどもったいない気がして、そうではない部分を作っていけば自ずとそういう人間ができあがっていくと思いました。だから、さえないとかイケてないみたいな外見の要素が先行しないようにしていました」
――先ほど話にあった通り、小西を語る上で欠かせない存在なのが桜田。演じていた河合優実さんの印象はいかがでしたか?
「言葉が入ってくる人でした。声量じゃなくて、よく聞こえるんです。誰しも言葉は当たり前に使いますが、河合さんのお芝居の言葉には力がある。人を殺めてしまう力もあるし支える力もあって、あらゆる状態にできる言葉。それを使う以上大事にしないといけないと思うし、小西を通じて入ってくる感覚がありましたし、すごいことだと思います」

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――桜田とのシーンはもちろん、さっちゃんとの2人きりでの場面など、2人芝居が多かったですよね
「基本的に小西ってどの相手にも受けという役割が多いので、皆さんのお芝居を受けようとしていました。皆さんすごかったです。伊東蒼さんとのシーンも、ラストの河合さんとのシーンもそれぞれ違う思い出があります」
――その小西が受けから一步進んで、一人で語る長台詞のシーンがあります。最初にこのシーンがあると知ったときはどう思いましたか?
「率直にうわって思いました。リーガルものとか専門職のドラマなら難しくて長いセリフもありますけど、こういう感情的な話で、専門用語を使うわけでもなくあの量はなかなかないです」
――その日を迎えるまで、一般の人でもわかる緊張感で言うと発表会のようなイメージでしょうか
「そうじゃないですか。撮影の日までカウントダウンしていましたから。撮っている最中もあのシーンに向かっていったので、ずっと意識はしていました」
――振り返ってみて手応えや満足はできているのでしょうか?
「自分で満足はしないです。あまり客観視できるタイプではないので、例外なくどのシーンでも『もっとああすればよかった』があります。満足したら、この仕事が続かない気がします。ものづくりにおいてゴールはないし、100点というのはない。自分で100点をつける日がきたら終わりじゃないですかね」
――個人的にもうひとつ印象に残っているシーンがあって、伊東蒼さん演じるさっちゃんの長台詞を受けている場面。小西の表情は何を物語っていたのでしょうか?
「頭と心と体が全部分離しているような状態です。言葉も聞こえているし、理解もしているけど、受け取る心も体も追いついていないばらばらというイメージです。瞬間的に『そうなんだ』と心の内側でリアクションもしている。だからといって、どうしていいかわかんないし、虚無とも違う。渦巻いていて、定まっていない状態なのかなと思います。現場ではあのときの小西は評判が悪くて、みんなに『最低』って言われていました」
映画情報
今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
4月25日(金) 全国公開
原作:福徳秀介『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館刊)
監督・脚本:大九明子
出演:萩原利久
河合優実 伊東蒼 黒崎煌代
安齋肇 浅香航大 松本穂香 / 古田 新太
製作:吉本興業 NTTドコモ・スタジオ&ライブ 日活 ザフール プロジェクトドーン
製作幹事:吉本興業 制作プロダクション:ザフール 配給:日活
詳しくは
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