萩原利久が明かす俳優業への向き合い方「100点はない」。初共演の河合優実に感じた力とは?
俳優

(C)2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
――先ほど「100点はない」というお話がありましたが、お芝居は無限に突き詰めることがありそうですよね
「元々、深く深く掘っていく作業が好きなんです。興味があるもの全般がそうなりがちで、一度興味を持つと僕は長く続くんです。それを軸に生活するタイプで、バスケの試合があるから起きようとか、生活のサイクルに入ってくる。だからこそ、興味がなくなった瞬間に全くできなくなるんです。その点、お芝居は永遠に掘ることができる。これだけやっていても、初めてのシーンばかりだし、全く同じことはない。3か月毎日会っていた人と次の日から全く会わなくなって、またはじめましてとやるのが面白いなと思います」
――お芝居を辞めたいと思ったことはありませんか?
「辞めたいと思ったことはないです。辞めたいと思ったら辞めると思います。興味がなくなったら、しんどいと思うし、周りの人に対して失礼になる。こういう仕事をしていると、外での生活に制約がありますけど、それはしょうがないことです。でも興味がつきた瞬間、そういう当たり前のことも大変になってストレスになると思う。そうなったら、次の興味があるものに行く気がします」
――萩原さんご自身の考え方についても伺いたいです。映画では「セレンディピティ(価値あるものを偶然見つける能力)」もキーワードになっていました。セレンディピティについてはどうお考えですか?
「今日までこの仕事できているのが一番の偶然な気がします。志して入ってきたわけではないし、出会いや縁が繋がり続けてここに立っていると思っています。どこか欠けると今日ここにはいなかったのかなと。ただ、僕自身の考え方としては偶然ってないと思っていて。やるやらないも選択しているのは自分だし、偶然に思えることもすべて必然という考えです」
――運も実力のうちということですね
「然るべきタイミングで然るべき人に運が向く、引き寄せる。すべて運が良かったで終わっちゃうと、どうすればいいの?って頑張れないです」

(C)2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
――同じく映画の中で登場した「武装」についてもお聞きしたいです。小西や桜田は自己防衛のためにそれぞれ行っていることがありましたが、萩原さんが普段から生きやすくするために行っている「武装」はありますか?
「アホでいることじゃないですか。こいつに言ってもしょうがないってなれば、避けられることもあるなと、自己防衛の側面です。逆に賢いは演じられない気がしていて、情報の積み重ねでしかないので。賢いフリができる人って賢いと思います。それができない人の抵抗だと思います」
――今回の作品を通じて成長できた部分などはあるでしょうか?
「ものを作るうえでああいうエネルギーの中でやれたらいいなと思いました。大九明子(監督)さんを中心にエネルギッシュで、大変さはありつつも、清々しいくらいエネルギーが巡っていました。疲労にしても良質な疲労というか、運動したあとの筋肉痛みたいなイメージです。あれを追求したいなと思います。この現場での経験が先々に活かせてエネルギーを振りまけるようになったら、成長になるのかな。今は気づきの段階です」
――この作品は恋愛映画ですが、もっと奥深さがある気がしています。最後に改めて映画についてどう見るべきか、おすすめの方法があれば教えて下さい。
「素直に見ていただいたらいいかな。大学生の話ですけど、見る方の状況や環境で見え方は一緒じゃない。2人のやり取りや渦巻く環境が懐かしいもあるし、かわいらしく見える方もいると思います。感情を揺さぶられたり、大学生活という未来を見る若い方もいる。そういう意味では一度見ていただいて、時間が経ったときに見て全然違う作品として入ってくるかもしれないです。長く楽しむ見方もできると思う。出てくる感想はお客さんの自由で、どう感じ取ってもらってもいいかなというのが僕の素直なおすすめの仕方です」

(C)2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
取材・文=まっつ
映画情報
今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
4月25日(金) 全国公開
原作:福徳秀介『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館刊)
監督・脚本:大九明子
出演:萩原利久
河合優実 伊東蒼 黒崎煌代
安齋肇 浅香航大 松本穂香 / 古田 新太
製作:吉本興業 NTTドコモ・スタジオ&ライブ 日活 ザフール プロジェクトドーン
製作幹事:吉本興業 制作プロダクション:ザフール 配給:日活
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