大泉洋がハードボイルドな魅力を炸裂させる代表作「探偵はBARにいる」

俳優

共演陣では、敵役のカトウを演じた高嶋政伸 (※「高」は正しくは「はしご高」)が強烈で、舌や耳にピアスをつけての怪演ぶりで新境地を開拓している。出番は決して多くないが非業の最期を遂げる実業家・霧島を演じる西田敏行もさすがの存在感を発揮する。探偵の飲み友達の新聞記者・松尾役の田口トモロヲも情けない感じがハマって好演。探偵に情報を提供するヤクザ・相田役の松重豊もいい。また、放火犯の父親・田口幸平を演じた有薗芳記の演技が非常に印象深い。有薗は、劇団・第三エロチカで活躍後、舞台や映像作品に多数出演し、「風林火山」の河原村伝兵衛役、「平清盛」の藤原経宗役など、大河ドラマの常連でもある。ただ、なんといっても本作の魅力を脇で支えているのは、沙織役の小雪だろう。独特の派手さと妖艶さを醸して、物語の核となるだけの強烈な個性を発揮している。ハードボイルドには美女がつきものだが、本作はまさに小雪の魅力を最大限に生かした作品と言っていい。

そんな味のある脇役たちが光っているのも、大泉と松田が中心にどっしり構えているからに違いない。本作は第35回日本アカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演男優賞など7部門で優秀賞を受賞するなど高い評価を受けた。初日から2日間だけで12万人超を動員し、映画観客動員ランキングで初登場1位を記録し、興行的にも成功。ヒットを受けて続編の製作も決定した。2013年に第2作「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」、2017年には第3作「探偵はBARにいる3」が公開されており、これらもあわせて放送される。

シリーズ第1作である「探偵はBARにいる」は、大泉が俳優としてさらに飛躍する契機となった作品でもあり、文字通りに体当たりで演じている。彼のルーツである北海道の大地で躍動する雄姿は、やはり格別な魅力を放っており、大泉の原点を見ることができる映画として、ファンの脳裏に強烈に焼き付いているはずである。

文=渡辺敏樹

この記事の全ての画像を見る
  1. 1
  2. 2
  1. 1
  2. 2

放送情報【スカパー!】

探偵はBARにいる<PG-12>
放送日時:2025年5月5日(月・祝)20:00~ほか

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点<PG-12>
放送日時:2025年5月5日(月・祝)22:15~ほか

探偵はBARにいる3<PG-12>
放送日時:2025年5月6日(火・振休)00:25~ほか

放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

Person

関連人物