また「父は一旦こうと決めたら、何があっても後には引きません」と言い放つなど、父を心から理解し、支える娘のお絹を清原 果耶が好演。その場に可憐な花がパッと咲いたかのような笑顔、父譲りの凛とした力強さなど、清潔感あふれる存在感が光る。なお本作の演技で、草なぎは第48回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞、清原は優秀助演女優賞を受賞している。

格之進と特別な友情関係を築いていく源兵衛を演じた國村隼、お絹に惹かれていく弥吉役の中川大志、格之進の敵役となる柴田兵庫に扮した斎藤工など、共演者にも豪華な顔ぶれがズラリと並ぶ本作だが、吉原・半蔵松葉の大女将であるお庚を演じた小泉今日子の見せた貫禄もあっぱれだ。仕事には恐ろしいほど厳しくありつつ、父を敬うお絹に惚れ込み、彼女を守ろうとするお庚。啖呵を切る様子もシビれるほどかっこいい。

草なぎと小泉はドラマ「まだ恋は始まらない」以来、29年ぶりの共演になったという。役者業を続け、本作では信頼を寄せる役柄として彼らの道のりが交わったことにも胸が熱くなる。

文＝成田おり枝