高倉健中井貴一の共演で謀略戦争を軸に描く忠臣蔵映画!石坂浩二宮沢りえら名優も名を連ねる秀作「四十七人の刺客」

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(C)1994 東宝・日本テレビ・電通アドギア

元禄14年3月の刃傷事件を発端とする「忠臣蔵」は、古くは人形浄瑠璃や歌舞伎の演目として上演され、その後、映画やドラマも数多く制作されたが、本作は原作と監督の視点もあいまって異色作と言えるものになっている。

事件の原因がわからぬまま藩主が切腹させられたことにより、赤穂藩は領地を奪われ、解体。この不条理を許すまじと、大石は吉良を殺害することを決意するのだった。

本作の特徴の1つは、塩相場を読んで武器や防具の資金を作ったり、藩士たちと地図を前に計画を練ったりと、実行に移すまでの過程をじっくりとリアルに追っていることだろう。「お主たちの命、この大事のために使い捨てる」と言い切る大石の迫力と孤高のカリスマ性は、高倉だからこそ出せるもの。憎しみの炎を燃やしながら、討ち入りの名目のため、事前に江戸に吉良の悪い噂を流すなど、現代でいうSNSの炎上のような方法を思いつく策士でもある大石を演じている。

そして、寡黙で硬派な印象が強い高倉だが、本作では隠せない色気ゆえに女性たちに迫られ、それを放っておけない一面も。高倉という俳優の多面的な魅力が詰まっている作品でもある。

■中井貴一が演じる色部の焦燥感と後悔が伝わる熱演も

(C)1994 東宝・日本テレビ・電通アドギア

同じ知能犯でも、腹が据わった大石とは対照的に、守りに重きを置く色部は危機管理に長けているが、その分不安も抱えている性格だ。大石の要望で2人が初めて対面し、屋形船で酒を酌み交わす場面では、一瞬、刀に手を触れる動作が心の動揺を物語る。

赤穂浪士の襲撃の時を恐れ、相手の心理を突いた防御作戦を立てた色部が顔色を失い、夜着のまま、刀を持って飛び出そうとする場面。そこでの中井の表情やセリフ回しは、歌舞伎を思わせる熱演だ。

雪が降った夜、全身黒の戦闘服に身を包んだ四十七人によって決行される討ち入りは、白く染まった景色の中で鮮血が飛び散り迫力満載。監督の美意識が反映された映像も見どころだ。ついに宿敵と向かい合う時の高倉の殺気を放つ演技にもゾクゾクさせられる。

文=山本弘子

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放送情報【スカパー!】

四十七人の刺客
放送日時:2025年7月26日(土)12:30〜
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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