黒沢清ホラーで光る役所広司の多彩な演技を「CURE」「回路」「ドッペルゲンガー」で振り返る
俳優

(C)KADOKAWA 1997
役所が演じる高部は正義感の強い刑事で、プライベートでは精神疾患の妻を気遣いながら生活している。この作品の見どころは、高部と間宮の心理戦。高部の尋問をのらりくらりとかわす間宮の態度に苛立ちを見せたり、高部自身の精神も揺らぎ不安定になったり、1つの場面の中でも"正気"から"狂気"へと気付けば変化していく場面もあり、観ている者もその世界に引き込まれていく。周防正行監督の「Shall we ダンス?」や今村昌平監督の「うなぎ」、森田芳光監督の「失楽園」など、同時期にいろんなヒット作に出演していた役所だが、「CURE」は俳優としての新たな扉を開けることとなった作品だと言える。第10回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された本作で、役所は最優秀男優賞を受賞。黒沢監督が国際的に知られるきっかけにもなった。
■作品の象徴とも言えるほどの強い存在感を放った「回路」

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 IMAGICA 2001
「回路」は、加藤晴彦と麻生久美子がメインキャストのホラー映画。1人暮らしで平凡なOL生活を送るミチ(麻生)の周囲で、同僚の自殺や勤め先の社長の失踪など、不可解な出来事が発生。大学生の亮介(加藤)は、アクセスしていないのに「幽霊に会いたいですか」というメッセージが浮かび上がる謎のサイトが開き、混乱している。やがて2人は出会い、次第に廃墟となる街で迫り来る恐怖に挑むことに...。ストーリーとしては、2000年頃のインターネット黎明期が舞台で、亮介は"右クリック"も分からないくらい、ネットに関する知識がない。当時、それは珍しいことではなく、まだネット普及率が低い頃で、多くの人が同じくらいの知識だったはず。"インターネット"の世界が未知なものだったからこそ、そこから繋がってしまう得体の知れない恐怖があった。この作品で役所は船長役として登場する。冒頭とエンディングのみの出演だが、ある意味、この作品の象徴とも受け取れる役なのかもしれない。
■1人2役で、"もう1人の自分"に翻弄される男を演じた「ドッペルゲンガー」
放送情報【スカパー!】
CURE
放送日時:2025年9月22日(月)21:00~
回路
放送日時:2025年9月22日(月)23:00~
ドッペルゲンガー
放送日時:2025年9月23日(火)1:00~
ニンゲン合格
放送日時:2025年9月25日(木)22:40~
チャンネル:WOWOWシネマ
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