黒沢清ホラーで光る役所広司の多彩な演技を「CURE」「回路」「ドッペルゲンガー」で振り返る

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「ドッペルゲンガー」では1人2役を演じた役所広司
「ドッペルゲンガー」では1人2役を演じた役所広司

(C)2002「ドッペルゲンガー」製作委員会

そして「ドッペルゲンガー」。役所が主演を務めるこの作品は、彼の"1人2役"を見ることができる。ドッペルゲンガーは、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で"自己像幻視"とも呼ばれている。それを見ると近いうちに死が訪れるという"死の前兆"と信じられていることも有名だ。小説においても"ドッペルゲンガー"を題材にしたものは世界中に多く存在する。「黒沢監督の手にかかれば、それはそれは恐ろしいホラーに仕上がったのでは...」劇場公開された当時、そのように思ったりしたこともあったが、観てみると、良い意味で予想を裏切るものになっていた。

人工人体の開発に取り組んでいるエリート研究者・早崎(役所)は、なかなかうまく開発を進められずにストレスが溜まる一方だった。そんなある日、早崎は自分の分身"ドッペルゲンガー"と出会った。その分身の目的は、早崎の研究を成功させることだという。死の前兆どころか、協力してくれるという意外な展開に驚かされるが、1人2役、早崎とその分身という、見た目は同じでも全然タイプの違う人間を演じ分けている役所の俳優としての凄さをしっかりと見せてくれている。ストレスを溜めて悩む早崎と、伸び伸びと生きている分身。"影"の存在である分身のほうが自由に生きていることに対し、早崎は殺意を抱き始めることに...。スラップスティック的なブラックユーモアに満ちた本作は、ホラーやサスペンスの枠を超えた作品となっており、役所も「CURE」の高部とはまた違う演技で観るものを引き込んでいく。

どの作品も黒沢監督とのタッグ作品ではあるが、それぞれ役所の違う魅力を引き出している。改めて黒沢監督の凄さと、役所の凄さを知れるので、ぜひチェックしてもらいたい。

文=田中隆信

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放送情報【スカパー!】

CURE
放送日時:2025年9月22日(月)21:00~

回路
放送日時:2025年9月22日(月)23:00~

ドッペルゲンガー
放送日時:2025年9月23日(火)1:00~

ニンゲン合格
放送日時:2025年9月25日(木)22:40~

チャンネル:WOWOWシネマ
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