そんな予想外の展開に戸惑う班長をよそに、実は思惑を秘めて東京に来ていた他の面々は、推し活に励んだり、クールな東京人らしく振る舞ってみたり、それぞれの目的に向かって走り出す。

一人班を抜け出す羽川恵役は、12thシングル「絶対的第六感」で正源司と共にWセンターを担った藤嶌が演じた。小悪魔っぽい素振りを見せながら憧れの男の子を追いかける様をリアルに表現。羽川の隠し事に鋭く気づく辻坂美緒役を演じた竹内は、普段とはイメージの異なる見事なツンデレぶりを披露した。2人の息のあったコミカルな掛け合い、火花散るやり取りも見ものだ。

そして、誰にも言えない夢を胸に秘めている桐井智紗役を演じるのは渡辺。小坂菜緒が演じる憧れのアイドル・有川凛に背中を押され、智紗は勇気を出して修学旅行中にオーディションへやってくる。今作を機に髪をばっさりと短くしてイメージを一変させた渡辺だが、憧れの人と向き合う真っ直ぐな眼差しも印象に残る。その一方で、不安げな表情は子犬のように愛らしく、健気な姿に思わず応援したくなってしまう。

他にもギャル、サバサバ系、ピュアガール、方向音痴の迷子まで、4期生たちは十人十色のキャラクターに扮して、一度限りの青春を全力で謳歌。リアルなストーリーと同期らしい仲の良さも相まって、等身大の素顔に近い生き生きとした姿が楽しめる。

初出演だからこその瑞々しさ、この一瞬だけというエモーショナル感が、非日常にちょっとだけ浮き足立つ修学旅行生にぴったりと重なり、眩しく映し出されている。11人の癖の強い女子高生たちと共に青春の一日を追体験できる、爽やかな群像劇となった。

文＝中川菜都美