9月11日に最終回を迎えた脚本・大石静×主演・阿部サダヲのドラマ「しあわせな結婚」。夫婦の愛を問うこの完全オリジナルのホームドラマかつマリッジ・サスペンスのヒロインを松たか子が務め、数々の作品で共演してきた阿部との息の合った芝居で物語を盛り上げた。

また、松は11月から宮藤官九郎が作・演出を担うロックオペラシリーズ「大パルコ人」の第5弾「雨の傍聴席、おんなは裸足...」も控え、同作でも再び阿部と夫婦役に。名だたるヒットメーカーから信頼される確かな演技力で、第一線で映画に舞台にと活躍している。

そんな松の初々しい姿が見られる初主演映画「四月物語」(1998年)だ。10月18日(土)にＷＯＷＯＷシネマで放送される本作は、東京で新生活を始めたヒロインの日常と恋を瑞々しく綴る青春ラブストーリー。

監督を務めたのは、「スワロウテイル」(1996年)や「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)でも知られる岩井俊二。今年4月には、長編デビュー作で恋愛映画の金字塔ともされる「Love Letter」(1995年)の公開30周年を記念した4Kリマスター上映も話題を呼んだ。上記3作でも撮影を担当した名カメラマン篠田昇が、「四月物語」でも岩井監督が描く独特の世界観を美しく映し出している。

本作で松が演じたのは、東京・武蔵野にある大学に入学するために北海道から東京へと引っ越してきた楡野卯月。大人しく内気な性格の卯月は、アパートの隣人や新しい友人たちとの出会いに驚きや戸惑いを覚えつつも、少しずつ心を開いていく。

彼女が親元を離れて上京したのには、誰にも言えない理由があった。それは、高校時代に憧れていた1学年上の先輩・山崎(田辺誠一)と同じ大学に行きたかったから。不純な動機を隠しながらも自分を思い出してもらいたくて、山崎のアルバイトしている書店に通う...。