
今年急逝した俳優・板垣瑞生。連続テレビ小説「エール」(2020年)や「正直不動産」シリーズなどで注目された期待の若手の訃報に、哀悼の声が集まった。彼の俳優たる才能ときらめきが詰まった忘れがたい作品として、2015年の映画「ソロモンの偽証」2部作が挙げられるだろう。
10月5日(日)にWOWOWシネマで放送される「ソロモンの偽証 前篇・事件」「ソロモンの偽証 後篇・裁判」は、直木賞をはじめ多くの文学賞を受賞してきた宮部みゆきの同名推理小説を原作とするヒューマンミステリー。構想に15年、執筆に9年もの歳月を費やしたという現代ミステリーの金字塔だ。2021年には上白石萌歌を主演に迎え、連続ドラマW 宮部みゆき「ソロモンの偽証」としてドラマ化もされている。

(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会
物語は、大雪が降ったクリスマスの朝、都内のある中学校の校庭で男子生徒・柏木卓也の遺体が発見されたことから始まる。警察は自殺と結論づけるが、「同校の不良少年グループに殺された」という告発状が学校関係者に届く。過熱するマスコミ報道に混沌とする事態を大人たちがもみ消そうとする中、遺体の第一発見者である同級生の藤野涼子は隠された真実を暴こうと"学校内裁判"の開廷を決意する。
前後篇合わせた長尺で丹念に映画化された同作の見どころは、フレッシュな若手からベテランまで多彩なキャスト陣が挙げられる。佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華に加え、津川雅彦、余貴美子、松重豊、小日向文世らベテラン勢も豪華な実力派揃い。生徒役にもオーディションを経て1万人にもおよぶ候補者の中から選び抜かれた精鋭が集まっている。
板垣は、本作のキーパーソンとなる神原和彦役に抜擢された。ミステリアスな雰囲気を纏う秀才かつ美少年は、当時14歳の板垣にまさしくぴったりの役どころだ。端正な顔立ちだが、柔らかい微笑みの裏は読めない。
亡くなった柏木の友人だった神原は、彼を殺したと告発されている大出俊次の弁護人として他校生ながら学校内裁判に参加。札付きの不良である大出にも、その父親や大人たちにも真っ向から立ち向かう神原は複雑な家庭環境に壮絶な過去を抱え、その瞳に強い覚悟を宿す。同年代の生徒たちに囲まれながらも堂々とした立ち居振る舞いで、どこか異質な存在感を放っているが、この瞬間だからこその輝き、透明感、そして美しい瞳が眩しい。
放送情報【スカパー!】
ソロモンの偽証 前篇・事件
放送日時:2025年10月5日(日)14:10~
ソロモンの偽証 後篇・裁判
放送日時:2025年10月5日(日)16:20~
チャンネル:WOWOWシネマ
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