松たか子の自然な演技と、広瀬すず&神木隆之介のピュアさに心奪われる!岩井俊二監督が「手紙がつなぐ愛」を描く映画「ラストレター」
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(C)2020「ラストレター」製作委員会
広瀬が演じる鮎美は、最初は母を失った悲しみを抱えている。葬儀の場では、乱れた髪の奥で涙をこぼし、裕里との会話で見せる笑顔も弱々しい。しかし時が経つと、少しずつ明るさを取り戻していく。
夫が飼い始めた犬を裕里が連れてきた時には気取らない様子で喜び、乙坂からの手紙を読んで返事を書こうと颯香を誘う時は、笑顔を見せる。そんな鮎美の変化を自然体で表現する広瀬の演技には好感が持てるし、ピュアなイメージを持つ広瀬が演じているため、鮎美の少女らしい姿が強く印象に残る。
また、広瀬は高校時代の回想シーンでの未咲役も演じていて、広瀬が持つ魅力によって、過去の未咲も純で愛らしい少女としてスクリーンに映る。
そして高校時代の乙坂を演じたのが、神木だ。高校3年生の時に転校してきた乙坂は、友人に誘われて生物部に入り、同じく部員だった裕里と知り合う。その後、未咲に想いを寄せるようになった乙坂は、何度も未咲への手紙を裕里に託していたのだ。
裕里といる時に現れた未咲に心奪われたように魅入る瞳、図書館で未咲を見かけた時に隠れてしまったりするシーンなどからは、高校時代の乙坂の純情さが見て取れる。神木が演じる乙坂からもまた、ピュアで、未熟な空気が濃く感じられる。
未咲がこの世を去った現在と、手紙のやり取りを通じて蘇る高校時代の思い出が融合しながら、物語は進んでいく。そんな中で、今、それぞれの胸にある想いが強く光り輝く。松や広瀬、そして神木らが紡ぎ出したこの温かな物語は、ゆっくりと、じっくりと楽しんでほしい作品だ。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
ラストレター
放送日時:2025年10月18日(土)17:50~、11月13日(木)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
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