松たか子の自然な演技と、広瀬すず&神木隆之介のピュアさに心奪われる!岩井俊二監督が「手紙がつなぐ愛」を描く映画「ラストレター」
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第19回日本アカデミー賞優秀作品賞受賞作「Love Letter」(1995年公開)を手掛けた岩井俊二監督が、"手紙がつなぐ愛"をモチーフに作り上げた映画「ラストレター」(2020年公開)。心に染みる温かな物語を始め、豪華俳優陣の起用にも注目が集まった作品だった。
主演は松たか子で、夫と子ども2人と暮らす普通の主婦・岸辺野裕里を演じる。亡くなった姉・遠野未咲の葬儀に出るため実家に戻っていた裕里は、未咲の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛に届いていた同窓会の案内を受け取る。姉のことを伝えるため同窓会に出た裕里は、乙坂鏡史郎(福山雅治)と出会い、それをきっかけに手紙を通して、それぞれの物語が幕を開ける。

(C)2020「ラストレター」製作委員会
本作にはほかにも、豊川悦司、神木隆之介、中山美穂、森七菜が出演。それぞれの人物をしっかり演じたのはもちろん、広瀬や森は現在と回想シーンで2役を演じるなど、見どころも多い。ここでは松と広瀬、過去の乙坂を演じた神木の3人に注目してみたい。
■手紙でつながる世界に引き込む、松たか子の演技が秀逸!
松が演じる裕里は、明るくてしっかりしていて、表情豊かな女性。冒頭の葬儀のシーンでは、姉を思い出しているようなまなざしで手を合わせ、悲しみに沈む鮎美の横に座った時は、励ますような瞳で肩に手を置く。
同窓会で未咲と間違われた時には、未咲の妹だと言い出せずに戸惑ったあげく未咲として会に出席したり、帰りのバス停で乙坂の姿を見つけて驚きのあまり飛び退ったり。その時々の裕里の心情が無理のない、自然な演技で表現されており、親しみを感じる。
そうして裕里に親近感を覚えた頃に、物語が動き出す。乙坂から届いたメッセージを見て夫が怒り出し、スマホを湯船に放り込んでしまうのだ。スマホが使えなくなった裕里は、未咲のふりをして乙坂に"手紙"を送ることにする。裕里が現住所を書かずに送ったため、乙坂は裕里の実家宛てに返信。それを受け取った鮎美と、実家に残った裕里の娘・颯香(森)が、さらに乙坂に返信する。メールではなく、"手紙"によって繋がりが広がっていくのだ。
物語が進むと裕里は、手紙でのやりとりを楽しむように。裕里に親しみを覚えた視聴者はきっとその気持ちに共感するだろうし、同時に手紙が想いをつなぐ本作の世界へと引き込まれていく。言ってみれば裕里は、本作における"手紙がつなぐ愛"の世界を作り、いざなう役割であり、自然な演技でそれを成し遂げる松の力量には感服するばかりだ。
■甘酸っぱい高校時代の未咲と乙坂を、ピュアに演じた広瀬すずと神木隆之介
放送情報【スカパー!】
ラストレター
放送日時:2025年10月18日(土)17:50~、11月13日(木)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
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