上川隆也が見せた知的で不穏な存在感 "怪奇"の奥に人間の怖さを描く「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」
俳優
上川隆也の出演作を振り返るうえで、「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」はもっと注目されていい作品だ。「大地の子」や「功名が辻」のように大きな物語を背負う役、「遺留捜査」の糸村聡のように独特な感性で事件に向き合う役など、上川はこれまで多くの印象的な人物を演じてきた。その中でも本作は、上川の知的で落ち着いた佇まいと、怪事件の奥へ踏み込んでいく危うさの両方が表れた作品になっている。
2013年に放送された「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」は、1968年に円谷プロが生み出した「怪奇大作戦」を現代版としてよみがえらせた作品である。オリジナル版の「怪奇大作戦」は、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の流れを受けながら、怪獣や宇宙人よりも、科学を悪用する人間の怖さに焦点を当てたドラマだった。物語の中心となるのは、特殊科学捜査研究所、通称SRI。警察だけでは解決できない不可解な事件に、SRIのメンバーが科学の視点から迫っていく。奇妙な事件の裏に、人間の欲望や孤独、社会の歪みが見えてくるところが、このシリーズの大きな魅力である。
2007年には、西島秀俊主演の「怪奇大作戦 セカンドファイル」が制作され、現代の空気を取り入れながら"科学の闇"が描かれた。その流れを受けて生まれた「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」で、牧史郎を演じたのが上川である。牧史郎は、オリジナル版で岸田森が演じたシリーズを象徴する人物の一人だ。上川はその名前を受け継ぎながら、自身の落ち着いた佇まいと知的な雰囲気で、新たな牧史郎像を作り上げている。
上川が同作で演じている牧史郎は、特殊科学捜査研究所・SRIのメンバーとして、常識では説明できない怪事件に向き合う人物だ。不可解な出来事が起きても、牧は大きく取り乱すことなく、まず現場に残された手がかりを見つめ、関係者の言葉に耳を傾ける。被害者に対する思いを抱えながらも、感情だけで事件を追うことはない。「なぜ起きたのか」「どんな仕組みが働いているのか」を冷静に探っていく牧の姿からは、科学者として怪奇の正体に迫ろうとする知性と、異常な現象に引き寄せられていく危うさの両方が感じられる。











