©2023「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
もしも、愛する人の命に明確なタイムリミットがあったなら。あなたはどうするだろうか。
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、そんなあまりにも残酷な問いを私たちに突きつけてくる作品だ。
ある日、高校生の百合(福原遥)は、進路をめぐって母親の幸恵(中嶋朋子)と対立。近所の防空壕跡に逃げ込むが、朝目が覚めると、そこは1945年6月...戦時中の日本だった。
偶然通りかかった彰(水上恒司)に助けられた百合は、彼に連れられて入った軍の指定食堂で、さまざまな人たちと出会う。皆と日々を過ごすなか、百合は強くて優しい彰に恋をする。しかし特攻隊員の彰は、命がけで出撃する運命を背負っていて――。
©2023「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
本作は、"決して重なることのない時間軸"を生きていたふたりが出会い、恋に落ちる物語である。「タイムスリップ」という非現実的な設定ながらも、シームレスに世界観へ飛び込めたのは、魅力あふれるキャスト陣の熱演はもちろんのこと、福原遥が百合の揺れ動く恋心を丁寧に演じたからだ。だからこそ、「彰が特攻隊員である」という残酷な現実を受け止めきれずにいる百合の"複雑な感情"が痛いほど突き刺さる...。
好きな人が目の前にいるときの"高鳴る鼓動"は何ものにも代えがたいものである。だが、百合はどうだろうか。
彼女が手にしたのは、その美しい時間に浸る間もなく、「愛する人の死」を受け入れなければならない絶望である。どれだけ想いを募らせても、時代がふたりを引き裂いていく。あまりにも残酷ではないか。
福原が本作で表現した「人が恋に落ちる瞬間」は、とてつもなく魅力的で、胸の奥がじんわりと温かくなる。それと同時に、百合を通して「人を愛すること」、そして「生きること」の尊さを感じる。


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