伊藤沙莉、山田裕貴×佐藤二朗の取調室シーンに衝撃「この役者さんたちすごい」映画『爆弾』インタビュー
俳優

――キーマンであるタゴサクについては、どんな印象を持ちましたか?
「タゴサクの一つひとつの動き、言葉を発する音、目線が凶悪犯の"それ"じゃないというか。いろいろなものが入り混じったところを二朗さんが的確にやられていて...。酒屋で捕まえたときと取調室にいるタゴサクは、まとっている空気が全然違うんです。取調室の空間で究極のところにいるタゴサクは、凶気を感じて恐ろしかったですね」
――類家とタゴサクの取調室のシーンは本作の見どころのひとつです。ご覧になっていかがでしたか?
「圧巻でしたね。本当に面白かったし、時間を忘れて見入っちゃいました。いつ爆発するか分からないし、自分も謎解きに参加してみたくなるほど没入したんですけど、ある種の職業病みたいなところもあって...。"この役者さんたちすごいな"と思いながら観ていました。畳み掛けるように喋るから、単純に"いつ息継ぎしているんだろう"と気になりましたし、それは自分の役者人生のなかでも、まだチャレンジしていない表現法な気がして。冷めた目線で言うと勉強になったし、映画を観るお客さんとしては、かなり引き込まれました」
――同じ俳優さんでも、あの2人の取調室のシーンは特別なんですね
「そうですね。類家のあっけらかんとした言い回しや、タゴサクに詰められてもまったく動じないあの強さなど、そもそもキャラクターを十分に落とし込んでいないといけないし、『この台詞をこう言いたい』とかだけだとやっていけない。『そこにいる』という軸が定まっていないと絶対に"音"としてブレると思うんですよね。
一方で、タゴサクを演じる二朗さんは、どちらかというと劇的な演技をしていますが、それを人間味あるところに落とし込めるのが素敵だなと思います。キャラクターだけで一人歩きしていないのがかっこいいなと思いました」

――『爆弾』の完成作をご覧になって、伊藤さんはどんなことを感じましたか?
「もちろん、本で読んでいるときもハラハラしつつ、没入したんですが、音として耳に届いたり、表情を見たりすることによって、より客観性が強くなり、他人事のように感じていたことが、いきなり自分に返ってくる。『ドキッ!』が強くなる感じがしました。
タゴサクがセンセーショナルな台詞を言うときも、作品として観ているから、聞き入ったり、見入っちゃったりするけど、いざそこに自分が当てはまったとき、いきなり"あ、他人事じゃない!"って思うんです。この"返り"が絶妙だなって思ったんですよね。
例えば『そこのあなたです!』みたいな爆発的な恐怖での落とし込みではなく、"あれ?待てよ...これって..."とジワジワこちらをエグってる感じ。じわりと首を絞めにくる感じがして...。そうなってくると、ある意味でエンターテインメントとしてワクワク観ていた私は、"意外と悪の部分を持っているんじゃないか?"と、グラデーションで感じていく。この"振り回される感じ"が映像になるとより強くなるなと思いました」
文・写真=浜瀬将樹
公開情報
映画「爆弾」
公開日:2025年10月31日(金)
原作:呉勝浩
監督:永井聡
出演者:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、坂東龍汰、寛一郎、渡部篤郎、佐藤二朗ほか
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