若き松田優作のパワフルな演技が絶品! 当時新人の舘ひろしとの対決場面も楽しめる映画「暴力教室」

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(C)東映

1976年公開の映画「暴力教室」は、新任の一匹狼の教師と不良暴力学生グループの激突を描いたハードアクション作品だ。舘ひろしの記念すべき映画デビュー作であり、松田優作が東映で初めて主演を張り、本格的なアクションに挑んだ「原点」とも言える作品として、優作ファンの間では"必見の一本"とされている。

じつは松田優作にとって、本作はただの主演映画ではなく、彼の俳優人生を救った作品と言っても過言ではない。1973年にドラマ「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)のジーパン刑事役でブレイクした松田は、1974年公開の映画「竜馬暗殺」や同年放送のドラマ「赤い迷路」(TBS系)など順調にキャリアを積み、1975年のドラマ「俺たちの勲章」(日本テレビ系)では中村雅俊とW主演を果たして人気も上昇していた。

しかし、松田は同作の鹿児島ロケの際に傷害事件を起こしてしまい、執行猶予付きの有罪判決を受ける。以降芸能生活を自粛しており、本作が復帰第一作だった。

■降板した千葉真一に代わり、謹慎中だった松田優作に白羽の矢

松田優作と舘ひろしのパワフルな対決場面は見逃せない
松田優作と舘ひろしのパワフルな対決場面は見逃せない

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そもそも本作は当初千葉真一の主演で企画されたが、スケジュールの都合で千葉が降板。代役として岡本明久監督が強く推したのが松田優作だったのだ。謹慎中の彼を起用することに周囲は反対したが、岡本は松田にこだわり、「この役は断じて松田優作しかいない」と関係者を説き伏せた。

荒れ狂う学園で暴れる不良高校生を導く強い教師役には、松田優作以外考えられないと主張する岡本監督によって復帰がかなったのだが、この時の出演が実現していなければ、後年の松田の活躍はなかったのかもしれない。なお不良生徒役には、舘ひろしをはじめ、バンドデビューしたばかりのクールスのメンバーも出演している。

ストーリーは、体育教師・溝口(松田優作)が、名門私立高・愛徳学園に赴任する場面で始まる。だが、学園は不良生徒たちに支配され、溝口も不良グループのリーダー・喜多条(舘ひろし)からジャックナイフの洗礼を受ける。溝口はナイフを投げ返して、不良たちに対抗。その後も喜多条たちを厳しく指導する溝口に対し、喜多条らは授業を抜け出して校内外で無法の限りを尽くして対立。

一方、学園の理事長・石黒(安部徹)は、校長・難波(名和宏)らと結託し、学校の移転に伴う土地売却に絡んで裏金を獲得する不正を企んでいた。それを立ち聞きした理事長の娘・ますみ(結城なほ子)は、ショックで非行に走る。タバコやシンナーに溺れるますみを見つけた喜多条は、彼女をグループにひきずりこみ、性行為中の写真を撮って理事長・石黒を脅迫。石黒は事態の収拾を図るために溝口にネガを取り返すよう命じる。なんとか取り返すことは成功したものの、逆恨みした喜多条らは溝口の妹・淳子(山本由香利)に目を付ける...。

■クールスの面々をはじめ、安西マリア、南条弘二ら脇役陣も奮闘

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放送情報【スカパー!】

暴力教室
放送日時:2025年11月7日(金)22:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
出演:松田優作、舘ひろし、安西マリア、丹波哲郎、小畠絹子、室田日出男、安部徹、クールス
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

詳しくは
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