「ばけばけ」の"三之丞"から一変!板垣李光人の人たらしなホストや杉咲花の悩める腐女子も鮮烈な「ミーツ・ザ・ワールド」の愛おしい人間模様

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「ミーツ・ザ・ワールド」 (C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会
「ミーツ・ザ・ワールド」 (C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で朝ドラ初出演を飾り、名門一家の三男・三之丞役で、家の中に居場所がない苦悩や悲しみを表現した演技に注目が集まった板垣李光人。

繊細な演技を武器に躍進が続く中、"No.1ホスト"というこれまでとはギャップのある役どころで存在感を放っているのが、10月24日(金)より公開された杉咲花主演作「ミーツ・ザ・ワールド」だ。

杉咲花、板垣李光人らの新境地が楽しめる「ミーツ・ザ・ワールド」
杉咲花、板垣李光人らの新境地が楽しめる「ミーツ・ザ・ワールド」

(C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

2004年に「蛇にピアス」で芥川賞受賞という鮮烈なデビューを飾った金原ひとみの同名小説を映画化した本作。『ちょっと思い出しただけ』(2021年)など数々の青春模様を描いてきた松居大悟監督が、初めて"生きること"に重きを置いたヒューマンドラマだ。

松居監督の盟友・クリープハイプが奏でる主題歌&劇伴音楽と共に、新宿・歌舞伎町を舞台に生きづらさを抱えた人々の生き様を、温かくもほろ苦いストーリーで描いていく。

「ミーツ・ザ・ワールド」
「ミーツ・ザ・ワールド」

(C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」を愛する腐女子の由嘉里(杉咲花)は、合コン帰りに酔い潰れていたところ、通りかかったキャバクラ嬢のライ(南琴奈)に助けられ、そのまま家に転がり込むことに。

ライとの生活を通じて、歌舞伎町の個性豊かな人々と顔馴染みになり、生き方を押し付けられない新たな世界に心地よさを覚える由嘉里だが、希死念慮を抱くライに生きてほしいと願い、周囲に反対されながらも死を望む原因を解決しようとする。

どこか浮世離れしつつもリアルという不思議な手触りの人間模様の中心となるのが由嘉里。腐女子ライフをエンジョイしながらも、27歳になり結婚、出産から仲間が減っていく状況に焦り、婚活に踏み出すが、由嘉里はそんな日々に違和感を覚える。

「ミーツ・ザ・ワールド」
「ミーツ・ザ・ワールド」

(C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

杉咲は自分を好きになれない女性が、新たな環境で自分と向き合っていく様子を、自ら脚本開発に参加し、取材まで行う熱意と、多彩な表現力でイキイキと活写。

好きなことを早口でうれしそうに語るきらめき、仲間たちと過ごす心地よさ、ライの部屋の汚さにドン引きする図々しさ、分かり合えない母親への気まずさ、ライに生きてほしいと願う執念...。目まぐるしい感情を、杉咲は心を持って演じており、キャラクターの内面を掘り下げた演技は自然体そのもの。ゆえに由嘉里が一喜一憂する様子は、微笑ましくもあり、時に胸が苦しくもなる。

「ミーツ・ザ・ワールド」
「ミーツ・ザ・ワールド」

(C) 金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

そんな由嘉里が出会い、変わるきっかけとなる歌舞伎町の人々は、誰もが個性豊かで魅力的。他人ごとのように「私、死んじゃうんだ」と語るような淡々とした雰囲気の中に深みを感じさせるキャラクターを、南琴奈が独特のニュアンスで表現したライの儚げな存在感に思わず目を釘付けにされる。

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映画情報

ミーツ・ザ・ワールド
10月24日より全国公開中

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