眞栄田郷敦が語る、映画『港のひかり』で感じた"人を思う力" 舘ひろしとの再共演で得た気づき
俳優
――舘さんとは『ゴールデンカムイ』以来の共演でした。今回の再共演はいかがでしたか?
「舘さんとは『ゴールデンカムイ』のときからよく食事に連れて行っていただいていて、俳優としてだけでなく、一人の人間としていろいろなお話をしてくださる方です。今回もたくさん刺激を受けました。今回は舘さんが主演という立場でもあったので、現場での立ち居振る舞いや、撮影の合間の過ごし方など、すべてが勉強になりました。俳優としての姿勢、現場に対する覚悟、それらを間近で見られたことは本当に大きな財産です」
――舘さんは対談インタビューで「眞栄田さんの目の芝居が素晴らしい」と話していました。ご自身では"目の演技"を意識されていますか?
「そう言っていただけるのはありがたいですが、特別に"目"だけを意識しているわけではないんです。すべての表現を一つの流れとして考えているので、結果的に目に感情が表れているのかもしれません。ただ、舘さんには『郷敦の目は武器だ』と言っていただいていて、それは心に残っています。自分の表情や視線が誰かに届いているとしたら、それは嬉しいことですね」
――撮影地は石川県の輪島と、富山県でしたね。現場の雰囲気はいかがでしたか?
「僕は主に富山での撮影でした。冬の日本海は本当に迫力があって、波が荒くて、空気が重たいほど冷たかったですね。まさに"日本海の風景"そのものという感じでした。幸太にとっても、あの場所は特別な意味を持つ土地です。幼少期の苦しさや痛みが残る場所でありながら、大切な人と出会えた場所でもある。そういう相反する感情を自然と引き出してくれる場所でした。立っているだけで、心の奥がざわつくような、そんな感覚がありました」
――撮影の合間には、現地の食や人との交流もありましたか?
「観光はほとんどできなかったですが、石川にいた一日はお寿司を食べに行きました。やっぱり魚が本当に美味しい。富山では監督と一緒に食事をしたり、スタッフの方々と過ごす時間も多くて、あたたかい雰囲気の現場でした。現地の方々の協力も大きくて、寒さの中でも常に支えてくださる人がいて。その優しさに触れることで、作品のテーマである"人と人とのつながり"を自然と感じられた気がします」
――『港のひかり』を通して、ご自身にとっての発見や変化はありましたか?
「やっぱり舘さんの存在が大きかったです。主演として現場を引っ張る姿を初めて目の当たりにして、あらためて"スター"とは何かを感じました。真似できるとは思わないけれど、ああいう在り方を目指したいという気持ちは強くなりました。一つひとつの所作やセリフに説得力がある。存在しているだけで、空気が変わるんです。まさに"映画の中で生きている人"だと感じました」
――最後に、これから映画を観る方へメッセージをお願いします
「この作品は、誰もが共感できる"人と人とのつながり"を描いています。自己犠牲とか、人のために生きるというテーマって、難しく聞こえるかもしれません。でもこの映画では、それが決して重くなく、自然に心に入ってくる。観たあとに、自分の大切な人や、恩返ししたい人のことを思い浮かべるような作品だと思います。僕自身、完成した作品を観たときに"自分の周りの人を大事にしよう"と素直に思いました。観てくださる皆さんにも、そんな気持ちが少しでも届けば嬉しいです」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
公開情報
映画『港のひかり』
11月14日(金)絶賛上映中
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