『兄を持ち運べるサイズに』──青山姫乃が映画初出演で出会った"もう一人の自分"

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『兄を持ち運べるサイズに』
『兄を持ち運べるサイズに』

(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

――中野監督との話し合いで「素のままの中学生らしさ」を意識されたとのことですが、具体的にどんな演技や表情を大切にして演じましたか?

「満里奈が私と似ている部分が多かったので、私が満里奈に羨ましいと思う部分も含めて、表情を表に出して、声を張ることを意識し、とにかくやりたいことをやるということを目標にして撮影に挑みました。自分の感情に素直で、すぐに顔や口に出てしまう...そんな満里奈がお母さんを支えるお姉ちゃんのような関係というのが好きだったので、監督がおっしゃった『素のままの中学生らしさ』は中学生らしく明るく前向きで少しずる賢い。だけど、マナーに厳しくて、家族を思う気持ちは人一倍強いという人物だと想像して決めました。満里奈は意外なところでズバッという人だと思っていて、普段の私だったら絶対にやらないことをやってくれる満里奈を演じるのは少し開放感があったり、嬉しかったりしました。

余談ですが、出演が決まって、最初に監督とお会いした時に言われた『素のまま』を聞いた時に、自分の素をあまり知らないことに気づき悩んでいましたが、お母さんやお姉ちゃん、友達に聞いて私の意外なところを発見できたこともありました」

――満島ひかりさんとの親子役を通して、特に印象的だったシーンはありますか?

「児童養護施設で良ちゃんとお話をする時に、お母さんの手を満里奈がぎゅっと握るところが1番印象に残っています。満里奈がお母さんを支えるという親子関係がよく見えるシーンだったので緊張しました。
カメラが回る前に満里奈がお母さんを支えなきゃと強く思い、手を両手でしっかり包むように握ったのを覚えています。そのシーンの撮影までにお母さんとハグをしたり何気ない会話をしたり、一緒にご飯を食べに行ったり、たくさん笑ってきていたので、自分でもびっくりするくらい満島さんがお母さんだという認識が強くなっていました。現場にお母さんがいないとうまくいかなかったり、安心できなくなることもよくありました。それくらい満里奈として存在できていることにも嬉しく感じていました。

オーディションの際は満島さんがお母さん役だとは知らず、決まって初めて知ったので、テレビの中で見ていた方とこんなに近い関係性で共演させていただけるなんて!!と衝撃的でした。今回お芝居のお仕事が初めてで、お母さんがもう1人になる経験もなかったので、満島さんのことをなんてお呼びすればいいのかと悩んでいましたが、満里奈のお母さんだから"ママ"と素直に呼んでみようと思い、普段から"ママ"とお呼びするようになりました。最初はぎこちない会話でしたが、いつのまにか"ママ"と当たり前のように呼んでいて、そういえば満島さんとお呼びした事がないという事に気づいたのはつい最近です」

――最後に、本作を楽しみにしているファンの方々へメッセージをお願いいたします

「この作品はぜひ感謝している人や家族で見ていただきたいです。家族だからこそ普段言えないこと、恥ずかしくて素直に表せない感謝や本音がそれぞれ皆さんあると思います。だからこの作品を通して当たり前のようにそばにいる家族や支えてくれる人の大切さ、今しか言えない伝えたいことを伝えられるような時間ができればいいなと思っています。

私は、家族とは本音を必ずしも言い合える中ではないと思うけれど、いつもそばにいてくれる、私を守ってくれる温かくて柔らかいお家のようなものだと思っています。ふと思い返すといつもの感謝の気持ちや過去に思っていたこと、今思っている事ことをあまり家族に伝えられていない事に気づきました。言わない選択肢もあるけれど、今伝えられずに未来で後悔する事が1番悔しくて悲しい事だと思うので、ぜひ皆さんも勇気を出して伝えてください。私も普段からまっすぐな気持ちを伝えられるようになりたいと思っています。新たな家族をやり直す4日間。クスッと笑えて涙が自然に出てくるそんなほっこりする映画です。ぜひ家族と大切な人と、感謝している人と観ていただけると嬉しいです」

『兄を持ち運べるサイズに』
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(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

文=HOMINIS編集部

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公開情報

映画『兄を持ち運べるサイズに』
2025年11月28日(金)公開
原作:村井理子「兄の終い」(CEメディアハウス刊)
監督・脚本:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大ほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

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