映画やドラマ、舞台で俳優として活躍するのみならず、歌手や映画監督など、さまざまな領域でその多才ぶりを発揮し、存在感を放ってきた水谷豊。「傷だらけの天使」や「熱中時代」、そして「相棒」シリーズと、代表作を挙げると枚挙にいとまがない。
そんな水谷の主演作の中でも印象的なのが、1982年から1983年にかけて土曜グランド劇場枠で放送されたドラマ「あんちゃん」だ。
舞台は、とある温泉街。東京で女子プロレスのマネージャー兼トレーナーをしていた田野中一徹(水谷)は、父が急死したことをきっかけに、突然、寺の住職を務めさせられることになる。かつて住職になるための基礎訓練を受けてはいたものの、大学卒業後、10年近く都会で気ままに暮らしていた若者・一徹にとって、住職の仕事は大変な苦労。亡き父の人柄もあり、小さな町の中で一徹がこなさなければならない住職の仕事は、仏事の取り仕切りだけでなく、悩み事のよろず相談所や福祉の仕事など、さまざまな厄介ごとの受け皿だったのだ。都会での気まぐれで自由な生活が懐かしく、心揺れ動く一徹。そんな一徹も、母や妹たちの叱咤激励や、昔の仲間たちの協力を得て、一人前の住職に成長していく...。
■水谷豊と伊藤蘭が兄妹役を好演
明るいタッチで描かれ、下町人情ホームドラマに仕上がっている本作。当時30歳の水谷が演じているのは、急死した父の跡を継ぐために故郷である宇佐木町に戻り、住職を務めることになる若者・一徹。東京で自由気ままに働きながら暮らしてきた一徹は、小さな温泉街の中で住職の仕事に苦労し、時には壁にもぶつかることになるわけだが、あれこれ悩みながらも住職の勤めを果たしていく。そんな一徹の奮闘や成長を、水谷が明るい雰囲気の中でしっかりと体現している。
また、実家であるお寺を中心に、妹・徳子(伊藤蘭)や弟・文太(西山浩司)、母・頼子(淡島千景)との温かい関係性や、幼馴染の音次(三浦洋一)、一郎(岡本富士太)ら、町で暮らす人々との人情話がコミカルに、人間味たっぷりに描かれているところの見どころ。第15話、第16話には、水谷の盟友・松田優作も出演している。
温泉街という情緒がある設定の中で描かれる、ユーモラスな人情物語。若かりし頃の水谷、伊藤らの共演で作り上げられた温かなストーリーを、楽しんでいただきたい作品だ。
文=HOMINIS編集部
放送情報
あんちゃん 一挙放送
放送日時:2025年12月6日(土)9:00~、12月7日(日)9:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくは
こちら









