50代に突入してさらに飛躍の時を迎えている俳優、西島秀俊。湊かなえによる同名小説を実写化したPrime Videoのドラマシリーズ「人間標本」(12月19日(金)より配信)では、息子を含む6人の少年たちを"人間標本"にしたという、狂気の犯行を自白する主人公の不気味さを体現。かつてない役どころで、新境地を開いている。
また、日本・台湾・アメリカの合作映画「Dear Stranger ディア・ストレンジャー」(2025年)では、英語のセリフが9割以上となる挑戦を成し遂げ、さらにA24の新作映画「Enemies (原題)」や、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の「Her Private Hell (原題)」にも参加するなど、国境を超えたものづくりに果敢にトライ。チャレンジングな姿勢で、俳優道をひたむきに歩いている。
そんな西島が、事件を追う刑事役として出演したのが映画「サイレント・トーキョー」(2020年)だ。12月5日(金)にWOWOWシネマで放送される本作は、ドラマ「アンフェア」シリーズの原作者である秦建日子の小説を、「SP」シリーズの波多野貴文監督が映画化したサスペンス。
舞台は、クリスマスイブの東京。あるTV局へ恵比寿の商業施設に爆弾を仕掛けたという電話が入る。半信半疑で中継に向かった来栖公太(井之脇海)は、そこにいた主婦・山口アイコ(石田ゆり子)とともに犯人の罠にはまり、実行犯へと仕立てられていく。一方、「渋谷のハチ公前で爆破事件を起こす」という予告動画がネットにアップされ、一帯を封鎖する警察、事件を一層煽るマスコミ、騒ぎを聞きつけた野次馬たちなど、様々な思惑が入り乱れる渋谷に、ついに"その時が"訪れる。
(C)2020 Silent Tokyo Film Partners
西島演じる世田は、東京が爆弾騒ぎに巻き込まれていく中、独自の捜査で真犯人を追いかけていく刑事。無精髭を生やし、寡黙で気だるげな雰囲気がありながらも、事件を見つめる視点は冷静沈着。同僚刑事が資料を渡そうとすると、「資料は人間が書いている。人間には必ず先入観がある。それが一番、捜査の妨げになる」と一蹴するなど、登場シーンからクセ者でありながらキレ者である説得力が全身からにじみ出す。
代表作の一つにも挙げられる「MOZU」シリーズでもワイルドな刑事役を担っていた西島だが、鍛え上げられた肉体を持ち、アクションもやり遂げる彼は刑事役もよく似合う。本人の持つストイックさと誠実な魅力もキャラクターに特別なパワーを注ぎ、佇まいからも「この人は信じられる」という信頼感や静かな迫力までを表現してしまうのだから、さすがだ。
また、劇中では首に傷のある彼の過去について詳しく説明されることはないが、その痛みを想像させつつ、観客に「もっと彼のことを知りたい」と思わせるような深みを与えている点にも注目。世田がギラリとした洞察力を手に入れるまでには、どのような道のりがあったのか...。そうやって思いを馳せながら、映画を見ても面白いだろう。
放送情報
サイレント・トーキョー
放送日時:2025年12月5日(金)23:00~
チャンネル:WOWOWシネマ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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