竹内涼真&町田啓太の肉体美と情熱がぶつかるNetflix映画『10DANCE』 10種目のダンスが光る競技ダンスの魅力
俳優
Netflixで配信中の映画『10DANCE』は、社交ダンスの世界でそれぞれ頂点に立つ"二人の信也"が、ラテンとスタンダード10種目すべてで競う〈10ダンス〉に挑む物語だ。ラテンの王者・鈴木信也と、スタンダードの王者・杉木信也。同じ名前を持つ2人が、ライバルとして、そしてパートナーとして歩幅を揃えていく過程を描いており、スポーツ映画らしい熱さと、近づいていく二人の関係の繊細な揺れが、同じ温度で描かれている。

その中心にいるのが、ラテンの王者・鈴木信也を演じる竹内涼真だ。本作でまず圧倒されるのは、彼の肉体そのものが物語ってしまう説得力だろう。引き締まった肩回りや腕の筋肉、鋭くひねり出されるウエスト、深い呼吸に合わせて大きく波打つ胸板......。ラテン特有のうねるようなボディムーブメントを見せるたび、「この男は本当にダンサーとして生きてきたのだ」と思わせるだけの履歴が、その身体には刻まれている。

とはいえ、『10DANCE』がいわゆる肉体美だけを売りにした映画ではないことは、すでに本編を見た人ならよく分かっているはずだ。竹内の肉体美は、サービスカットではなく、鈴木というキャラクターの生き方そのものを伝える大事な要素になっている。試合前に鏡の前で静かに肩を回す姿や、練習で何度も床に倒れ込みながら立ち上がる後ろ姿からは、ここまで積み重ねてきた時間の重さが自然と伝わってくる。だからこそ、ふいにこぼれる無防備な笑顔や、パートナーと向き合ったときに見せる少年のようなまなざしが、よりいっそう愛おしく感じられるのだ。

対するスタンダードの王者・杉木信也を演じる町田啓太は、まったく違う形で観客を惹きつける。姿勢はいつも崩れず、ホールドも乱れない。大きく感情をあらわにするのではなく、口元が少しゆるむ、視線をふと落とす、呼吸がわずかに乱れる──そんな小さな変化の積み重ねで、杉木の心の動きを見せていく。長い手足のしなやかなラインと、首筋に走るささやかな緊張が同時に伝わってくるスタンダードのダンスシーンは、彼が内側に抱えている静かな熱をよく表している。










