竹内涼真町田啓太の肉体美と情熱がぶつかるNetflix映画『10DANCE』 10種目のダンスが光る競技ダンスの魅力

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物語の大きな見どころは、まったくタイプの違う二人が、10ダンスを通して少しずつ歩調を合わせていく過程にある。ラテンの熱と衝動で突き進んできた鈴木と、スタンダードの理性と美しさを何より大事にしてきた杉木。最初はお互いのスタイルを受け入れられず、ぶつかってばかりの二人が、相手のダンスを必死に学び合ううちに、だんだんとステップが揃い、呼吸が揃い、やがて見つめる先の景色まで同じになっていく、その変化の一つひとつの瞬間に、二人の関係の深まりがはっきりと表れている

汗でシャツが肌に張り付き、竹内の鍛えられた体がよりくっきりと浮かび上がる中で、鈴木は力で引っ張るのではなく、相手の動きに合わせて踊ることを少しずつ覚えていく。一方の町田は、これまでどこか冷たく見えた表情をほんの少しゆるめながら、パートナーとして鈴木を信じようとする気持ちを、ダンスそのもので示していく。言葉で「信じている」と伝える以上に、組んだ腕の力の入り方や、一歩一歩のステップが、二人の心の変化をはっきりと教えてくれる場面だ。

『10DANCE』は、競技ダンス映画であり、ロマンス作品でありながら、見終えたあとに残るのはジャンルをまたいだ「パートナーシップの物語」だ。相手を信じ切ること、自分の弱さをさらけ出すこと、二人でしか到達できない場所を目指すこと。それらが竹内と町田という俳優の身体と演技を通して、まっすぐに観客へ届いてくる。

これから作品に触れる人に伝えたいのは、「ダンスがすごい」「二人がかっこいい」だけでは済まない映画だということだ。竹内の鍛え上げられた身体と、その奥に見える鈴木の不器用な真っ直ぐさ。町田の品のある立ち姿と、その内側で静かに燃え続けている情熱。その両方に心を奪われた人ほど、この映画における"10ダンス"という挑戦の重さを、もう一度確かめたくなるはずだ。

文=川崎龍也

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