第44回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞をはじめ、数多くの賞を受賞するなど演技力に定評のある草なぎ剛。草なぎといえば、アイドル時代を経てタレントとして活躍する一方、俳優業にも力を入れており、ファンのみならずこれまで共に作品づくりに携わった監督や脚本家、共演者たちからも絶賛されている俳優である。
そんな彼の数ある代表作の中でも俳優としての評価が一気に高まった作品といえば「僕シリーズ」だろう。「僕シリーズ」とは、草なぎが主演を務めた4作品を指し、橋部敦子が脚本を務めた「僕の生きる道」(2003年、フジテレビ系)、「僕と彼女と彼女の生きる道」(2004年、フジテレビ系)、「僕の歩く道」(2006年、フジテレビ系) の連続ドラマ3作品と、シリーズ初の劇場映画「僕と妻の1778の物語」(2011年)からなる。すべて社会問題を扱ったストーリーではあるが、ストーリー的な共通点はなく、テーマも登場人物も関連性はない。
同シリーズの中でも草なぎがそれまでに演じてきたキャラクターとは一線を画した役柄に挑戦した作品が、2026年1月24日(土)に日本映画専門チャンネルで全話一挙放送される、シリーズ2作目「僕と彼女と彼女の生きる道」だ。同ドラマは、「絆」をテーマに、仕事人間で家族をないがしろにしてきた男とその一人娘の心の交流を描いたヒューマンドラマで、草なぎは主人公の小柳徹朗を演じている。
仕事にしか興味がなく、家庭のことなど全く無関心な銀行員・徹朗(草なぎ)はある日、突然妻・可奈子(りょう)から離婚を切り出される。徹朗が理由も分からず戸惑う中、可奈子は幼い一人娘・凛(美山加恋)を残して、家を出てしまう。徹朗は最初、凛を可奈子の実家に預けようと考えるが、凛の家庭教師・ゆら(小雪)のアドバイスもあり、凛と暮らし続けることを決める――というストーリー。
■草なぎは違和感なくパブリックイメージとは真逆の冷酷な主人公を演じきった
本作以前の草なぎが演じてきた役は、彼の温和な性格や優しいイメージと合致したものがほとんどだったのだが、本作で草なぎが演じる徹朗は仕事一筋で最初は"親"の顔が全くない、ひとことで言うと冷酷な性格の人物。草なぎのパブリックイメージとは真逆の役柄だったのだが、草なぎは視聴者に「本当は冷たい人間なのかもしれない」と思わせるほど見事に冷酷なキャラクターを演じ上げている。









