(C)2010 フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社
ドタバタと賑やかなのだめに対し、千秋を演じる玉木の演技も見どころだ。のだめとともにパリで暮らし始めてから1年が過ぎたころ、千秋のもとに、伝統あるルー・マルレ・オーケストラの常任指揮者の話が転がり込む。しかし現在、メンバーのほとんどが辞めていて、千秋はオーケストラの立て直しに奮闘することになる。
エリート音楽家の千秋は基本クールだが、常任指揮者の話が来た時は夢見るような表情になり、友人からマルレの実態を聞き出した時は、怒りから情けない表情へとユニークな変化を見せたりもする。
また、千秋には極まれに、自分を抑えきれなくなる時がある。日本から来た友人とのだめが部屋で悪ふざけをしている時などは、目を見開き、息を荒げ、怒り全開の姿を見せる。そういった言動が千秋の心情とシーンに実にマッチしていて、トラブルに巻き込まれがちな千秋の内面がより増幅されて伝わってくるのだ。
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そして、のだめと千秋の最大の見せ場であるコンサートのシーンでは、上野と玉木もこの上ない熱演で魅せてくれる。「前編」の終盤で千秋が指揮を執る時は、曲に合わせて柔らかな空気を醸し出したり、騎士のように勇ましい姿に見えたり、曲の素晴らしさと相まって鳥肌もののシーンとなっている。「後編」で公演デビューを果たすのだめも、熱があるだけでなく、音そのものになっているような、素晴らしい姿を存分に披露してくれる。
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本作は挿入される楽曲が素晴らしい上に、各曲の魅力や制作された背景などの説明もあるので、クラシックに詳しくなくても楽しめるようになっている。1月2日(金)にWOWOWで前編・後編が一挙放送されるので、上野と玉木の好演と素晴らしい音楽をたっぷり楽しんで、ハッピーな気持ちで新年のひとときを過ごしてはいかがだろうか。
文=堀慎二郎

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