
優貴は、冒頭で兄といる時は屈託のない笑顔の明るい女性だった。しかし、父が殺された後はそれがトラウマとなって、ほとんど笑わなくなってしまった。そんな優貴の内面を、八木は説得力のある演技で体現している。
例えば、幻獣に潜入するべく闇バイトに応募し、貴一と鉢合わせた時には、緊張が高まっているような震える声で受け答えする。幻獣に入ってからも、声のトーンは低めで、常に何かが心の底に淀んでいるような雰囲気がある。そんな優貴も貴一と同じく、物語の中でさまざまな表情を見せる。第3話で幻獣の幹部に「これからも私のために働いて」と言われた時の、言葉はなくとも高ぶっているのがわかる様子や、第5話で貴一が疑いを懸けられ、人質として囚われた時の怯えた様子など、極限の状況での迫真の演技も見ものだ。

物語の当初、幻獣の無茶な司令を必死にこなしていた2人は、やがて幹部に認められ、より組織に深く食い込んでいくようになる。しかし同時に、敵対する組織との抗争が激化し、スリリングの度合いも増していく。
竜星と八木の熱演によって増幅されるスリルを味わいながら、この手に汗握る物語を、ぜひ最後まで楽しんでほしい。
文=堀慎二郎









