(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
そして、彼らの旅路に立ちはだかる強敵を演じる実力派俳優陣の起用もファンを大いに驚かせた。かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求める新撰組の"鬼の副長"こと土方歳三を演じる舘は、長いグレイヘアで、髭と眉毛をセットし、原作のビジュアルを完全再現。圧倒的なオーラで、土方が胸に秘める野望の底知れなさを漂わせた。
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
そして、日露戦争を命懸けで戦うも報われることのなかった師団員のため、北海道征服を目論む大日本帝国陸軍第七師団・鶴見中尉を演じた玉木も、特殊メイクによるやけど跡と強い目力で、鶴見のカリスマ性を完璧に体現。なかでも、馬に乗った鶴見中尉が、逃げる杉元とアシㇼパを追いかけるシーンで玉木がみせる不気味な笑みは、真冬の北海道という状況も手伝って、観る者の背筋を凍りつかせるような恐ろしさに満ちている。
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
また、杉元・アシㇼパと行動をともにするお調子者の脱獄囚・白石を演じる矢本悠馬の明るい笑顔とコミカルなセリフ回し、生気のない瞳が特徴の無表情スナイパー・尾形を演じた眞栄田郷敦を始め、美術、衣装、小道具、メイク、VFX...と、あらゆる部分から原作コミックへのリスペクトが伝わってくる本作。2026年3月には、囚人たちに埋蔵金のありかを示す刺青を入れた張本人でもある"のっぺら坊"が収容されているという網走監獄を舞台に、杉元&アシ(リ)パ、鶴見率いる第七師団、土方一行が激突する劇場版最新作「網走監獄襲撃編」の公開も控えている。さらなるブームが巻き起こることが予感される冒険活劇の魅力を、この機会に思う存分味わってほしい。
文=中村実香









