本木雅弘の凛とした眼差しと温かい姿に胸を打たれる!「国宝」旋風で再び思い出される「おくりびと」の快挙

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「おくりびと」 (C)2008 映画「おくりびと」製作委員会
「おくりびと」 (C)2008 映画「おくりびと」製作委員会

映画「国宝」の勢いが公開から半年以上経った今も止まらない。昨年末12月30日の時点で観客動員数1209.8万人、興行収入184.7億円を突破。歴代興行収入ランキングでも邦画実写No.1となり、日本映画の歴史を変える金字塔を打ち立てた。

さらに、同作に感銘を受けたトム・クルーズがロサンゼルスで特別上映会を開いたことも大きな話題に。第98回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選出され、北米での公開も決定。同賞のショートリスト入りを果たしたこともあって、1月22日(現地時間)に発表されるノミネートには格別な注目が集まっている。社会現象を巻き起こした「国宝」旋風は、今年もまだまだ続きそうだ。

国外でも高く評価された日本映画といえば、濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」(2021年)も記憶に新しい。脚本賞を受賞した第74回カンヌ国際映画祭でも好評を得て、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞に輝いた。そしてさらに遡ると、それ以前に注目が集まったのは第81回アカデミー賞の同部門(当時の名称は外国語映画賞)を受賞した「おくりびと」(2008年)だろう。

本木雅弘が主人公の納棺師を演じた感動作「おくりびと」
本木雅弘が主人公の納棺師を演じた感動作「おくりびと」

(C)2008 映画「おくりびと」製作委員会

2月1日(日)にWOWOWシネマで放送される本作は、外国語映画賞が名誉賞だった時代を除けば邦画として史上初のアカデミー賞外国語映画賞に輝いた名作。モントリオール世界映画祭でグランプリ受賞、日本アカデミー賞の最優秀作品賞を含む10冠達成など国内外で高く評価された。

「陰陽師~おんみょうじ~」(2001年)や「壬生義士伝」(2003年)などを手掛けた滝田洋二郎が監督を務め、遺体を清め棺に納める納棺師として働くことになった主人公の成長と周囲の人々の人間模様を丁寧に綴る、ヒューマンドラマだ。

チェロ奏者の小林大悟は、楽団の解散を機に妻の美香と共に故郷・山形県酒田市へ帰ってきた。職探しをしていた大悟は、高給と短い労働時間に惹かれて"旅のお手伝い"という求人に応募し、遺体の納棺をする小さな会社"NKエージェント"に就職する。旅行会社と誤解していたが、実は"安らかな旅立ちのお手伝い"をする納棺師という仕事だった。思いもよらぬ業務内容に戸惑いながらも、妻には冠婚葬祭関係と偽って納棺師の見習いとして働き始める。

「おくりびと」
「おくりびと」

(C)2008 映画「おくりびと」製作委員会

主人公の大悟を演じたのは、納棺師の世界を知り感銘を受けて自ら企画を持ち込んで映画化に向けて奔走したという本木雅弘。遺体の納棺をする会社に就職した大悟は、美人と思いきやニューハーフだった青年、幼い娘を残して亡くなった母親、キスマーク付きで送り出される大住生の老爺...など、初めての仕事にはショックを受けるが様々な境遇の別れに接し、社長の佐々木のもとで見習いとして学ぶうちに、故人を安らかに"おくる"仕事に誇りを見出していく。

大悟は、様々な家族や死を前に、戸惑い迷い、哀しみや苦しみを受け止めながら、少しずつ変わり始める。本木の凛とした眼差しが、その心情を物語る。故人の尊厳や遺族の心に寄り添う慈愛に満ちた瞳、鮮やかに粛々と遺体を納棺する美しい所作。時にコミカルな様子も見せながら、誠実で温かい姿に胸打たれる。

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