(C)2004 フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/東宝/電通
当初の彼女たちは"補習をサボる口実"という不純な動機でビッグバンドに参加し、楽器ができないのはもちろん、楽譜を読むことすらできず、やる気もない。しかし、次第に音楽の魅力に気付き、のめり込んでいく過程が見どころだ。
上野演じる友子は特に、何事も思い付きで行動し、真っ先に不満を口にするタイプ。「ジャズっておっさんのやるもんだべ」と文句を言い、テナーサックスに息を吹き込んで「ほっぺた痛い...」と弱音を吐き、「何か詰まってんじゃねえの?」と、音が鳴らないのも楽器のせいにする始末。しかし、音楽の楽しさに気付いた瞬間、彼女の瞳はたちまき輝き、表情はキラキラしたものに変化する。そんな姿を、上野が生き生きと演じているのが印象的だ。少女たちが次第にジャズに夢中になっていく姿には、胸が熱くなる。
「ウォーターボーイズ」を含め、青春のまばゆい部分だけではなく、その側面の衝突や葛藤などの泥臭さを丁寧に描き出すのは、矢口監督の手腕。等身大の女子高生たちが映し出すのは成功の物語や才能の開花ではなく、"上手くいかなくてもいい"、"それでもがむしゃらにやる"姿だからこそ、多くの人の背中を押してくれる。
上野は本作で第28回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後、前述の「のだめカンタービレ」を始め、「ラスト・フレンズ」や大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」、「グッド・ドクター」、「監察医 朝顔」など数々の話題作に出演し、俳優として確かな存在感を放ってきた。
劇中の演奏シーンは、数ヶ月に及ぶ猛特訓を重ね、吹替えなしで撮影されたという。上野にとってターニングポイントであると同時に、貫地谷、本仮屋、平岡らが若手俳優として注目を集めるきっかけにもなった本作。今なお色あせない青春映画として、ぜひ改めて味わってほしい一作である。
文=HOMINIS編集部









