寺尾聰×深津絵里で紡ぐ、温かな物語――吉岡秀隆も好演した映画「博士の愛した数式」
俳優
(c)2006 「博士の愛した数式」製作委員会
深津が演じている杏子も、博士に負けじと魅力的な人物。彼の記憶が80分しかもたないことを知り、初対面の時こそ戸惑いを見せるものの、ごく自然に博士との時間を過ごしていく。息子のルートと"博士に「その話はもう聞きました」は言わない"と約束したり、自身が間違えた言動をした時には、10歳のルート相手にも真摯に謝ったりと、随所から思いやりに溢れている温かな人柄が伝わってくる。そんな杏子を深津が豊かな表情と軽やかな存在感で好演している。
本作はルートが成長して先生になり、生徒たちに博士と母親と過ごした時間を語り聞かせるという構成で描かれていく。先生になったルートを演じているのは吉岡秀隆。爽やかな語り口調が印象的で、博士との日々を思い出す最中に笑顔を溢したり、瞳に懐かしさを滲ませたりと、ルートにとっても博士との交流が特別な時間だったことが伝わってくる。
どれほど心を通わせても、毎日リセットされてしまう博士の記憶。それでも杏子とルートは、博士を大事に想い、博士と過ごす時間に意味を見出していく。記憶が失われても消えないものがある――本作は人と人との絆を描いた、穏やかで温かな物語だ。
文=HOMINIS編集部









