中村橋之助(現・中村芝翫)が演じる、人間味あふれる秀吉!家康役・内藤剛志の演技も光る「太閤記 天下を獲った男・秀吉」

俳優

中村橋之助(現・中村芝翫)の人間味あふれる秀吉は魅力がたっぷり!
中村橋之助(現・中村芝翫)の人間味あふれる秀吉は魅力がたっぷり!

(C)東映

歌舞伎俳優の橋之助が主演したこともあり、本格時代劇としての格調の高さを感じさせる。本作では、庶民の子として生まれた藤吉郎(秀吉)が才覚と人心掌握、機転で成り上がっていく過程を快活さと人間臭さを前面に出しており、橋之助の艶のあるセリフ回しと軽快な立ち回りが心地よい。

本作の秀吉像は豪胆な英雄というより、人間臭さを感じさせ、「人に取り入り、場を和ませる」。卑屈さを感じさせることも多いが、時に大胆な行動で周囲を驚かせる。そんな庶民性のある秀吉像を橋之助らしく、立体的に演じている点が印象的だ。「天下人」としての秀吉よりも、木下藤吉郎時代の魅力により比重を置いている。

「おんな太閤記」(1998年)など、秀吉役を得意とした西田敏行などは、容器で人たらし、最初から主役のオーラが全開で"英雄らしい"演じ方だった。竹中直人の場合は、人心掌握や情報戦に優れた知略化としての面が色濃く、笑顔の裏に冷酷さがあるような人物像。橋之助は彼らとはまったく異なるアプローチで、威厳がなく、卑屈でカッコ悪い一面を丁寧に演じている。時に空気を読み過ぎたり、失敗したりすると凹む。決してカッコよくはないのだが、だからこそ魅力的だ。

「人たらし」として有名な秀吉だが、多くの作品ではそれが天性の才能だと解釈される。しかし本作では、相手の顔色を観察し、立場を瞬時に計算する。失言したらフォローするという、人生の処世術として体得した形で描かれる。農民出身の「凡人」であった秀吉が、懸命に努力して出世を遂げていく。そんな秀吉像は橋之助だからこそ作りあげたと言っていい。英雄的な芝居をせず、感情を溜めて目線や姿勢で身分差を巧みに表現する。まさに舞台的だが誇張しない演技術が光り、独特な秀吉像を成立させた。

■織田信長役の村上弘明、徳川家康役の内藤剛志の演技も光る!

この記事の全ての画像を見る
次のページへ
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
Person

関連人物