(C)2006 BLACK DIAMONDS
松雪が演じるのは、東京から東北の町にやって来たダンス講師のまどか。おしゃれな洋服を身に纏い、都会的な洗練された女性のまどかを、凛とした佇まいで演じている。一見怒りっぽく、フラガールの活動を反対する町の人々とも対立ばかり。気の強い女性という印象を受けるが、実はまどかにも母親の借金を返すために金が必要なので講師を引き受けた背景があったり、「SKD」のトップダンサーの座から転落して田舎町に来た自分を内心は惨めに思っていたりと、町の人たちには隠している事情があった。そんなまどかの人知れぬ孤独や強がりを、松雪が映し出している。
慣れない田舎町で、デリカシーのない住人たちの言動や、ダンス経験のない少女たちばかり集まった状況に当初はうんざりした顔を見せる。しかし、ダンスへの熱意は確かなもので、厳しさもそこから来るもの。そんなまどかも少女たちの真っすぐで純な気持ちに触れ、いつしか手を取り合うようになるのだが、そんな変化を松雪がナチュラルに描き出す。厳しさの裏に確かな優しさを持つまどかを、松雪が好演している。劇中で見せた情熱的なダンスシーンも見どころだ。
そんなまどかのもとに集まった"フラガール"の一員・紀美子を演じているのが蒼井。方言の強いセリフ回しで、炭鉱町の純朴な少女を熱演している。当初は友人の早苗からの誘いでフラガールに応募したものの、まどかがレッスン場で1人踊っている姿に目を奪われ、親の反対も押し切って練習に励むように。ただの少女だった紀美子がダンスに出会い、内に秘めた情熱が徐々に溢れ出す過程を蒼井が真っすぐに表現している。ダンスが上達するにつれてきらきらと瞳が輝いていく姿は美しく、魅力的だ。
昭和40年という時代背景もあり、移り変わる時代における町の人々の悲喜こもごもを描いた同作。炭鉱への想いゆえに変化を拒む者、女性も活躍できる時代に心を躍らせる者...。それぞれの想いが織りなす人間ドラマに仕上がっている。フラガールたちのダンスシーンも見どころの本作を、松雪や蒼井の演技に注目しながら楽しんでいただきたい。
文=HOMINIS編集部









