1月26日に44歳の誕生日を迎えた俳優・綾野剛。2003年のデビューから着実にキャリアを重ね、ドラマ「Mother」(2010年)や連続テレビ小説「カーネーション」(2012年)などで存在感を発揮。さらに、「コウノドリ」シリーズでは主人公の産婦人科医を好演し、「MIU404」(2020年)でも警視庁機動捜査隊の野生児に扮して再び星野源とバディを組んだ。
近年では、歌が上手くなりたいヤクザをコミカルに演じた主演映画「カラオケ行こ!」(2024年)や、Netflixシリーズ「地面師たち」(2024年)での不動産詐欺師の男も記憶に新しい。キャラクターの陰陽を問わず多彩な役柄を演じ分け、作品ごとに印象を変える綾野だが、また新たな一面を見せた作品が「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」(2025年)だ。
■「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」綾野×柴咲のインタビューはこちら
4月4日(土)にWOWOWシネマで放送される本作は、実話に基づく社会派サスペンス。2003年、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件を取材した、福田ますみのルポルタージュ「でっちあげ―福岡『殺人教師』事件の真相―」を映画化した。
監督は、大ヒットシリーズ「クローズZERO」でも知られる鬼才・三池崇史。シリーズ第2弾「クローズ ZERO II」(2009年)では当時まだブレイク前だった綾野もキャスティングされ、迫真の演技は高く評価された。三池監督とは同作以来の約16年ぶり2度目のタッグとなるが、本作ではまったく異なるキャラクターを演じている。
(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
綾野が演じるのは、小学校教諭・薮下誠一。教え子である男子児童の母親・氷室律子(柴咲コウ)から息子の拓翔が薮下から体罰を受けたと告発される。その内容は聞くに耐えない虐めだった。これを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海(亀梨和也)は実名報道に踏み切る。過激な内容が載る記事は瞬く間に世の中を震撼させ、薮下はマスコミの標的に。誹謗中傷や裏切りに停職、家族との生活や穏やかな日常を壊され、心身ともに擦り減っていく。
一方の律子を擁護する声は多く、550人もの大弁護団による前代未聞の民事訴訟へと発展。原告である律子側の勝利は確実と思われる中で開かれた法廷で、薮下は「すべて事実無根のでっちあげ」と完全否認する。
母親・律子の供述で浮かび上がる薮下の人物像は、威圧的で失礼な態度、差別的発言や暴言を吐き暴力を振るう教師としてあるまじき人間。笑顔や視線一つすら薄気味悪く、淡々とした佇まいには狂気をはらむ。
しかし、マスコミの過剰報道に追い立てられながら肩を丸めて法廷に現れた薮下は様子が一変。語り口や表情にも誠実な人柄が滲んでいる。気弱で不器用ながらも懸命に生徒たちと関わる心優しい教師。そんな薮下が、身に覚えのない告発や学校側の理不尽な対応に戸惑い狼狽える間にどんどんと追い詰められていく。
本作のように難しいテーマや「地面師たち」などの難役にも挑戦し続けている綾野は、真摯に作品や役と向き合い準備を怠らないストイックさもよく知られている。だからこそ、演じる役が一人の人間として作品の中で生きているように見えるのだろう。薮下の心の動きから自然と出る言葉や生々しい反応、真に迫る凄まじい演技に引き込まれた。





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