木村拓哉の信長×綾瀬はるかの濃姫――夫婦の歩みを描く歴史大作「レジェンド&バタフライ」<PG-12>で光る、人間味あふれる演技

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数々の作品の主人公となり、革新性と戦術眼で時代を打破したカリスマ性を描かれることもあれば、その冷徹さから魔王のように映し出されることもある信長という人物。しかし本作での信長は、そんな従来のイメージをしっかりと踏襲しながらも、"大うつけ"と呼ばれた青年期から登場しているだけあって、未熟さや孤独も丁寧に描かれているように思う。

物語の冒頭、奇抜な恰好で奔放さを感じさせる青年期の信長を、木村は飄々とした佇まいで好演。濃姫と初対面で取っ組み合いになるもののまったく歯が立たずに面食らったり、口達者な濃姫の言葉に顔をしかめたりと、クールな中にも豊かな表情が見られ、信長の人間味を感じさせる。桶狭間の戦いを前にした時には打つ手のなさに浮かない表情で苛立ちを見せ、濃姫の策に希望を見出すと活力を取り戻す。信長のカリスマ性だけではなく、強者の仮面が外れて垣間見える揺らぎや弱さまで、木村はしっかりと表現。その後も数々の難局を経て、信長がうつけ者から冷酷な統治者へと変化していくさまが描かれている。

ヒロインの濃姫を演じた綾瀬も魅力的。凛とした佇まいと毅然としたセリフ回しで、濃姫の勝気な性格と芯の強さを一瞬で印象付けている。喧嘩や武芸に長けているだけではなく、聡明さも兼ね備えた濃姫は、信長に負けず劣らずの存在感を放つ。

その一方で、父の訃報を聞いた際には涙を浮かべて声を震わせたり、信長への恋心を自覚した時には戸惑いや弱さを見せたりと、こちらも濃姫の強さだけではなく脆さもしっかりと映し出す。綾瀬の声色には感情が乗っており、その時々の濃姫の心の機微がひしひしと伝わってくる。

そして、何よりも信長と濃姫の関係性の変化が本作の見どころ。桶狭間の戦いを機に、当初は馬が合わずに張り合ってばかりいた2人の間に確かな絆が生まれたことが、木村と綾瀬が互いに向ける視線や顔つきの変化から感じられる。信長が感情を前面に出す時には、濃姫が1歩引いて受け止め、逆に濃姫が熱を燃やした時には、信長がわずかな動揺を見せる。補い合いながら、夫婦の絆は深くなっていく。そして、いつしか互いに離れがたい存在となった信長と濃姫。どちらも素直になれずとも共にいることを選んだり、すれ違いに切なさをにじませたりと、不器用なやり取りは時にもどかしく、しかし胸に響く。

夫婦の30年の軌跡を中心に、天下統一を目指す信長の歩みを描いた歴史大作に仕上がっている本作。信長を演じた木村と、濃姫を演じた綾瀬、それぞれの演技に注目しながら、楽しんでいただきたい。

文=HOMINIS編集部

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