渋みのある佇まいと可愛らしい笑顔とのギャップや魅惑の低音ボイス、そして圧倒的な演技力で映画や舞台、ドラマ、CMなどでも活躍中の俳優・遠藤憲一。2026年4月スタートのドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官 Season 3」では、捜査熱心すぎるがゆえに妻子に逃げられてしまった過去を持つ草加刑事を、前作から引き続き演じる。
これまでにアウトローな役や刑事役を数多く演じてきた遠藤だが、真面目で情に厚い昭和の熱血刑事・河内凪雄巡査部長を好演したのが、2012年制作のドラマ「内田康夫サスペンス 多摩湖畔殺人事件~丹波篠山・酒田・秋田を結ぶ殺人ルート1000kmの謎~」だ。
ある日、兵庫県の丹波篠山に出向いていたはずの商事会社社長・橋本圭一(小木茂光)が、多摩湖畔で遺体となって発見された。捜査にあたった警視庁東大和中央警察署の河内凪雄(遠藤)は、現場で「寺131588」と書かれた謎のメモを見つける。警視庁捜査一課の刑事・平井実(内田朝陽)とコンビを組んで捜査を進める中、橋本の娘・千晶(緑友利恵)から捜査協力を得ることになるが、彼女は3年前に病死した河内の娘・順子(緑友※1人2役)にそっくりで...。
人気小説家・内田康夫によるミステリー「多摩湖畔殺人事件」をドラマ化した同作で、遠藤が演じたのは主人公の刑事・河内。「情報は足で稼ぐ」が信条の昔気質な刑事で、妻と娘に先立たれていることもあり、仕事に没頭する日々。そのせいか胃潰瘍を患っていて、主治医でもある藤原病院の院長・敦子(萬田久子)からは手術を勧められている状態だ。そのような状況下でも、河内は母に次いで父も亡くしたという千晶に寄り添いながら、事件解決のために奔走する熱血刑事を、遠藤はひたむきな演技で体現している。気心の知れた敦子とのコミカルなやり取りや、平成を生きる若き刑事・平井とのジェネレーションギャップが楽しい会話、そして千晶へ向ける父親のような優しいまなざしなど、遠藤という役者が持つ魅力を最大限に発揮しており、河内という存在が愛すべき主人公なのだと強く印象づけられる。
そんな河内をさらに輝かせる、もう1人の主人公とも呼べる存在が、緑友が演じる車椅子の少女・千晶だ。亡くなった河内の娘にそっくりなだけでなく、足が不自由な状態で唯一の家族を亡くすという苛酷な状況に置かれた千晶。河内は刑事として、そして娘を持つ父として、千晶に心を寄せるのだ。千晶を通して描かれる河内の優しさと、彼の純粋な思いやりに触れた千晶の心の変化にも注目してほしい。
また、スタッフ・キャスト陣が再結集した第2弾「内田康夫サスペンス 鬼刑事と車椅子の少女~ドクターブライダル~」では、遠藤の味わい深い演技で作り上げられた河内刑事の魅力はさらに深化。身元不明の女性の遺体が発見されたことを機に、千晶の親友・竹美(仙石みなみ)が行方不明になる事件が発生する中で、千晶も独自に竹美の行方を追い、いつしか河内と千晶が名コンビとなっていく。
殺人事件が発端となるシリアスな物語ながら、遠藤演じる河内が放つポジティブなオーラによって、人情味溢れる刑事ドラマに仕上がっている本作。捜査中のキリッとした鋭い眼光や、娘の遺影を見つめる時の優しいまなざしなど、多彩な表情をみせる遠藤に注目しながら、物語の結末を最後まで見届けてほしい。
文=中村実香











