染谷将太が映画『きみの鳥はうたえる』で作り上げた「優しい男」

9月1日(土)より全国公開される、佐藤泰志の同名小説を映像化した映画『きみの鳥はうたえる』。国内外で注目を集める気鋭の映画監督・三宅唱が、柄本佑、石橋静河、染谷将太、今をときめく実力派俳優の3人を迎えて描くのは、若者たちにしか生み出すことのできない危うい三角関係の物語だ。今回、主人公"僕"(柄本)の同居人の静雄を演じた染谷将太に、作品や三宅監督について話を聞いた。

「きみの鳥はうたえる」

(C)HAKODATE CINEMA IRIS

本作への出演が決定した際の感想をお聞かせください。

「監督の三宅さんとは、もともとかなり前から友人だったんです。もちろん三宅監督の撮る作品もすごく好きでしたし、本当に今回誘ってもらえて心からうれしかったですね」

今回演じられた静雄の役作りで意識された点を教えてください。

「静雄は、柄本さん演じる主人公の"僕"が『あいつは優しい男だから』と、思わず言ってしまうような人間でなければならない。それが自分の中では最初、静雄という人間を形成する上で重要な手掛かりになると思ったので、すごく大切にしました。『何でも言うことを聞いてくれる』『何でもやってくれる』という優しさではない。そういう優しさだったら、"僕"は静雄に対して『優しい男』とは言わないと思ったので、2人の関係性の中で思わずそう言ってしまうような、この映画ならではの静雄の優しさを監督と作りました」

静雄と染谷さんの共通点があれば教えてください。

「意外に静雄は器用な男なんです。黙るべき時は黙り、言うべきタイミングでは、しっかり言うんですよ。だから、3人のバランスがいい意味でギリギリ保っていられるんですけど、そういう部分を僕は持っていないですね(笑)」

原作は東京を舞台に展開する物語でしたが、映画では原作者の佐藤泰志さんの故郷でもある北海道函館市が舞台となっていますね。

「狙いとしては、すごく良かったと思います。東京でも東京ならではの面白みがあると思いますが、函館が舞台であることで全く違う方向性の映画になったと思います。この作品で描かれている物語は少しジメっとした感じですが、それすらも清々しく見えてくるのは、函館という街が作り上げてくれた雰囲気で、演じる僕たちにもいろんな影響を与えてくれたと思います」

染谷さんが思う三宅監督の魅力を教えていただけますか?

「作品から『今』を感じることのできる映像作家というところですね。三宅監督が作る作品には『どこかで観たことがあるな』という既視感もないんです。映画はどうやっても時代を描いてしまうもので、撮ったことでその題材は『過去』になるじゃないですか。でも、三宅監督は『今』なんですよね。『今』と『ちょっと先の未来』を感じている方なので、すごくその部分が新鮮で心がヒリヒリしたりするんです。それでもすごく清々しいというのが、三宅監督の作家性だと思いますし、僕はすごく大好きです」

最後に『きみの鳥はうたえる』を楽しみしている皆さんへメッセージをお願いします。

「本当に素敵な映像作家である三宅監督の魅力を味わってほしいです。また、柄本さんや石橋さんたちと一緒に作った"きみ鳥"を多くの方に観てほしいですね。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ劇場に足を運んでもらえるとうれしいです」

文=中村実香 撮影=中川容邦 スタイリスト=小橋淳子 ヘアメイク=AMANO

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放送情報

9.1『きみの鳥はうたえる』公開記念 監督・三宅唱と3人の俳優たち

放送日時:2018年8月24日(金)23:00~

※放送作品

『「きみの鳥はうたえる」特別番組』『THE COCKPIT『NAGAHAMA/八月八日』『ムーンライト下落合』『シミラー バット ディファレント』『密使と番人』

チャンネル:日本映画専門チャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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