【美女図鑑】女優・蒼井優「愛に飢えてました。（笑）」

"共感度０％、不快度100％"という、パワーワード！

"共感度０％、不快度100％"それが蒼井優と阿部サダヲがW主演し、「凶悪」の白石和彌監督がメガホンを執った10/28（土）公開の映画「彼女がその名を知らない鳥たち」のキャッチフレーズだ。沼田まほかるの同名傑作ミステリーを映像化した本作は、最低な女と男がたどり着く"究極の愛"を描く大人のラブストーリー。常に不快感を抱きながらもスクリーンから目が離せなくなる、何とも不思議な作品。主人公の１人・ 十和子（とわこ）を演じた蒼井優に、本作の魅力と撮影の裏側を聞いた。

－今作で演じた十和子について、「甘ったれた女性で、まったく共感ができない」とも言っていましたが、どんな思いで演じていたのでしょうか？

蒼井：しんどかったです。（十和子は）ぜんぜん幸せじゃないですから。やってもやっても満たされず、撮影を重ねるごとに私自身の心が空っぽになっていく感じで。スタッフさんも「愛が欲しい」と言い始めるほど、みんな愛に飢えてました（笑）。

－気分転換をする間はあったのでしょうか？

蒼井：追われるように３週間ぐらいで撮影したので、気分転換をする間はなくて。でも、すごい濃密な時間でしたし、現場のスタッフさんも共演者の方々も素敵な方ばかりだったので、すごく救われました。ただ、演じ終わってから感じたんですけど、女性は誰しも十和子になる素質があるんじゃないかと思うんです。女性のダメなところを集めたら、十和子になるなって。みんな素質を持っていて、私自身も否定しきれない気がします。

－阿部さんとのお芝居はいかがでしたか？

蒼井：何もかもがすごかったです。次元が違いました。軽やかなんです、芝居が。なんじゃそりゃ！というぐらい、努力とか計算とか何も見せずに完璧なんですよ。だから、泣く予定じゃなかったのに、泣きそうになったシーンもありました。

－陣治を演じる、阿部さんは「汚い男を追求した」そうですが、現場でいかがでした？

蒼井：阿部さんは人としてすごく清潔感がある方だから、撮影前半は陣治を嫌いになる努力をしてました。心の中で「この人はゴミなんだ、ゴミなんだ」と言い聞かせてないと、うっかり笑いかけてしまいそうになるくらい、現場で実際に見るとかわいいんです。カメラに映っていないところでの細かい仕草もかわいいくて、いちいちツボに入ってしまって、最初は笑ってしまいました。

－本編を見させていただきましたが。こんなに共感できないのに、こんなに心に残る映画は初めてでした。

蒼井：あはは。恐らく、いままで気付かなかったものや、気付いてないものって何なんだろうと考えていただけるきっかけになる映画なのではないかな？と思います。最後は寓話的なところもあると思うんですけど、私たちはそこを信じてつくったので...って、もうこれ以上話せないんですけど（笑）。撮影後にみんなで結末から半年後の姿を想像した話をしたら、それぞれに意見が違ったんですよ！ぜひ、ご覧になった後に話し合ってみていただきたいです。

－最後に、本作の公開を記念し、映画・チャンネルNECOで蒼井さんの主演映画「百万円と苦虫女」と「アズミ・ハルコは行方不明」が、放送されます。

蒼井：個人的に「百万円と苦虫女」の鈴子の延長線上に、「アズミ・ハルコは行方不明」の安曇春子がいる気がするんです。安曇春子は鈴子の未来のような感じ。「百万円と苦虫女」は監督のタナダユキさんが書かれていて、「アズミ・ハルコは行方不明」の原作は山内マリコさんの小説。タナダさんと、山内さんはタイプの違う女性なんですけど、私のなかでは繋がった感じがしました。

－それは蒼井さんならではの新解釈！そんなことを思いながら観ると、また面白いかもしれないですね。

PROFILE/
あおい・ゆう●'85年8月17日生まれ、福岡県出身、Ａ型。'01年、岩井俊二監督映画「リリィ・シュシュのすべて」でスクリーンデビュー。出演作は映画「フラガール」('06年)、「百万円と苦虫女」('08年)、「おとうと」('10年)、「アズミ・ハルコは行方不明」（'16年）など多数。10/14（土）スタートのドラマ「先に生まれただけの僕」（日本テレビ系）に出演。映画「ミックス」が10/21(土)公開。映画「彼女がその名を知らない鳥たち」が10/28(土)公開

撮影●後藤利江　取材・文●及川静

※この記事はヨムミル！ONLINEの転載になります。

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