今年の春、乃木坂46を卒業した生駒里奈。デビューシングルから5作連続でセンターを務めるなど、グループの顔と言える存在だった彼女が、卒業後の最初の仕事に選んだのは舞台「魔法先生ネギま!~お子ちゃま先生は修行中!~」だった。
この舞台の原作は、「週刊少年マガジン」で連載されていた人気コミック「魔法先生ネギま!」。修行のため、女子中学校の教師となった10歳の魔法使いの少年、ネギ(ネギ・スプリングフィールド)を主人公にした学園コメディとなっている。
10歳の少年をどう演じるのか。最初は想像ができず、そんなことを考えていたが、ポスターなどに使われるビジュアル画像を見ると、しっかりと「ネギくん」になっている生駒の姿を確認することができた。ゲネプロの際の合同取材で「22歳はもう大人の女性だと思うんですけど、どの22歳よりも似合っていると思う」と言っていた通り、10歳の少年に変貌していった。
魔法使いと言えど、ネギは修行中の身。まだまだ未熟なところが多く、うっかり魔法を暴発させて、女子生徒の下着を瞬間移動させてしまったりするドジな部分や、生徒から迫られて恥ずかしそうにする姿など、舞台の上のネギはどこからどう見ても10歳の少年。そういうピュアな部分を自然に演じられるところが、生駒の役者としての魅力であり、長所だろう。
人気コミックの初舞台化作品、しかも初主演ということでプレッシャーも大きかったはずだが、女性キャストばかりというのも良い方に働いたようだ。しかも、クラス委員長の雪広あやか役をHKT48の神志那結衣、宮崎のどか役をAKB48の歌田初夏、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル役をSKE48の北川愛乃、絡繰茶々丸役をNGT48の西潟茉莉奈、綾瀬夕映役をSTU48の榊美優、古菲役をNMB48の谷川愛梨が演じるなど、AKB48グループのメンバーも多数出演し、生駒の初主演作をしっかりとサポートしていた。
演技だけでなく、ダンスもこの作品の大きな見どころ。そこはやはり乃木坂46での経験を十分に生かし、他の出演者と息のあったパフォーマンスで魅せてくれる。この作品のオファーを受けた時、「歌やダンスもしっかりと稽古して臨みたいです」と舞台のスタッフに伝えたと言っていた。ひとつひとつ集中して、いいものを作っていきたい。主演としての責任感を含め、そんな気持ちがしっかりとみんなにも伝わっていたのだろう。「舞台のリアルタイムで進んでいくところが好き」とも話していたが、舞台1公演1公演を全力投球しているところが観客にも伝わり、エンディングでは大きな感動を与えてくれた。
純粋な少年っぽさと繊細さを兼ね備えた生駒里奈。本人は、ジャンルにとらわれずに活動していきたいと言うが、「女優」としても今後さらに成長していくはず。9月30日(日)にはフジテレビTWOでの放送が決定。大いなる可能性を秘めたその演技を確認しつつ、この世界観を楽しんでもらいたい。
文=田中隆信
放送情報
舞台「魔法先生ネギま!~お子ちゃま先生は修行中!~」
放送日時:2018年9月30日(日)21:00~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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