「おっさんずラブ」の田中圭が併せ持つ"等身大の演技"と"多面性"

2018年4月～6月に放送されたドラマ「おっさんずラブ」が一大ブームとなったことは記憶に新しい。主人公の春田役を演じた田中圭は2000年にデビュー。大ヒットを記録した「図書館戦争」シリーズでは、図書特殊部隊の鬼教官・堂上(岡田准一)の同期、笑い上戸で穏やかな理論派・小牧を原作忠実に演じてみせた。近年は、2017年放送の「東京タラレバ娘」「民衆の敵～世の中、おかしくないですか！？～」など、数々の話題作にも出演。「民衆の敵～」では、市議会議員に立候補した主人公・智子(篠原涼子)を支える良き夫・公平を好演。忙しい妻に代わって家事や子育てを頑張る姿は、"理想のパパ"として一気に好感度を高めた。一方で、2007年には舞台にも挑戦するなど、活躍の場を広げている。

そして田中を語る上で外せないのが「おっさんずラブ」の主人公・春田(田中)だ。まったくモテない素朴な男のはずだった春田は、尊敬する上司の黒澤(吉田鋼太郎)や、同僚の牧(林遣都)から次々に告白される。突然のモテ期到来を素直には喜べない春田だったが、黒澤や牧と次第に心を通わせて恋愛関係へと発展していく、というストーリーだ。男同士という設定にも関わらず、普通の"おっさん"たちが織り成すピュアでストレートな愛情は、男女のそれとなんら変わらない心の機微を表現し、視聴者の心を見事につかんだ。家で牧に甘える春田の姿に母性本能をくすぐられ、上司からの告白を受けて真剣に悩む様子に誠実さを感じ、彼らの恋愛模様にトキメキを感じた人も多いはず。田中は親しみやすい等身大の演技で、春田というキャラクターを表現。等身大であるが故に、私たちは彼らの恋愛を素直に受け止め、共感と感動を味わうことができたのだろう。

「おっさんずラブ」のように親しみやすい好青年を演じることも多い田中だが、2015年にTVドラマが放送され、劇場版も公開された「びったれ!!!」ではコワモテの一面も見せている。本作で田中が演じたのは、優しいシングルファーザー、賢い司法書士、そして元極道という3つの顔を持つ男。涼しい顔で法律を読み上げ、人の胸ぐらをつかみ、壁に押し付けてすごんでみせる。だが、その5秒後には子供と仲良く笑い合う、どこにでもいそうな好青年に戻っている。父親として子供に笑顔を向ける柔らかさと、元極道としてにらみを利かせる冷徹さ。そのギャップを田中は見事に演じ分け、ゾッとするほどの多面性をのぞかせた。

9月からは「ぐるぐるナインティナイン」の人気企画「ゴチになります！」の新メンバーとしても注目を集めている田中。ドラマ、映画、バラエティなど、幅広いジャンルで活躍を続ける彼が、俳優としてどんな多面的な輝きを今後見せてくれるのか楽しみだ。

文＝editaholic

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