田中圭主演、もうひとつの「おっさんずラブ」。単発ドラマ版だけのキャラクター・後輩のハセに注目!

「おっさんずラブ <2016年単発版>」出演の田中圭(左)、吉田鋼太郎(右)
「おっさんずラブ <2016年単発版>」出演の田中圭(左)、吉田鋼太郎(右)

©テレビ朝日

2018年4月クールに放送されて旋風を巻き起こし、ドラマの各賞を総なめにした「おっさんずラブ」。田中圭主演のこの企画はそもそも、2016年放送の単発ドラマから始まった。田中が文房具メーカーの社員・春田を演じ、自宅のマンションで1年にわたり会社の後輩・長谷川(落合モトキ)と同居しているという設定。そこに、上司の黒澤部長(吉田鋼太郎)が春田を好きだと告白してきて、長谷川も実は春田を好きだと打ち明け...と、男同士の三角関係がコミカルに展開していく。

連ドラ1話分の短編ながら、ここには連ドラ版で視聴者を沸かせた面白いシチュエーションが既にある。黒澤のスマートフォンを春田が見てしまい、黒澤が春田を隠し撮りしていたことがバレる、トイレで小用を足している最中のやり取り、長谷川の「巨根じゃダメですか?」という爆弾発言での告白。そして、春田を取り合う黒澤と長谷川のキャットファイト。連ドラ版とは違い、クリスマスパーティーの最中にバトルするので、長谷川はサンタ姿、黒澤はトナカイの衣装を着ているというのも爆笑ポイントだ。

連ドラ版と大きく違うのは、春田の相手が牧(林遣都)ではなく、長谷川であるということ。春田から"ハセ"と呼ばれる長谷川は牧と同じ25歳という設定だが、落合は、のほほんとした柔らかい話し方でナチュラルに好演。特に、ごちゃごちゃ言い訳する春田をキスで黙らせる場面で(キスしてみてどうよ?)と問いかけるような表情が秀逸だ。春田のためにご飯を作ってあげたり掃除をしたりして、仕事の愚痴も聞いてあげるというけなげさは牧と共通しているが、Sっ気のある牧よりも攻撃性が低いので、ハセのほうが好みの人もいるかも。酔いつぶれた春田に毛布をかけ、その髪をなでなでしてから寝顔にキスしようとする場面は、けなげ度マックス!

連ドラ版で田中圭のファンになった人にも、単発版ならではの見どころがたくさん。クリスマスパーティーで王子のようなコスプレをし白タイツを履いている姿やコート姿も見られるし、女性の同僚を押し倒すが脳裏にハセの顔がちらつくという場面では、くねくねした動きで笑わせてくれる。そして、ずっと「男なんてありえない」「俺は女が好きなんだ」と長谷川との間にある恋愛感情を否定してきた春田が最後に...というシーンでの表情の移り変わりは田中にしか出せないリアルさがある。

脚本の徳尾浩司、演出の瑠東東一郎(連ドラ版では第1、4、7話を担当)も連ドラ版と同じスタッフ。2年前の放送時にドラマ好きの女性の間で話題沸騰し、制作のテレビ朝日に大きな反響が寄せられたという。男同士のカップルが登場して話題になった「隣の家族は青く見える」(18年フジテレビ系)より2年早く、初めてボーイズラブ的な物語を実写で見せた画期的なドラマと言える。

連ドラ版のようなせつなさは少ないが、テンポの良いラブコメディーとして楽しめる単発版。春田と黒澤が登場するもうひとつのパラレルワールドをのぞいてみよう。

文=小田慶子

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放送情報

おっさんずラブ <2016年単発版>
放送日時:2018年12月30日(日)9:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1 ドラマ・バラエティ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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