"若手歌舞伎俳優の登竜門"とも言われ、次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が顔を揃える「新春浅草歌舞伎」。39年という歴史があるこの舞台が、2019年も1月2日(水)に東京・浅草公会堂で開幕する。
今年出演するのは尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村鶴松、中村梅丸、そして、中村錦之助。その中でも、今回は若手のリーダー的な立場を勤める尾上松也に「新春浅草歌舞伎」の見どころや楽しみ方を聞いた。
伝統ある興行「新春浅草歌舞伎」を任されて5年目になりますね。
「『新春浅草歌舞伎』は(若手の)自分たちが大役を勤めさせていただく、とても大きな公演です。先輩方に教えていただき学ぶことももちろん大切ですが、それに加え、役者にとって"1日でも(多く)役を演じる"ことで一気に飛躍できるのではないかと自身で実感しています。そういう意味で、とても大きな経験になっています。5年目ということで、今回は出演者で話し合いの場を設けて、可能な限りやりたいことを実現していけるようにと意識をしました。若い頃から、この興行をどう盛り上げたいか、どのようにしてお客さまに楽しんでいただけるかを考える、責任を持つという経験は他ではなかなか経験できないですから。演目についても、スタッフの方々含め忙しい中集まっていただいて皆で提案して。"続く後輩たちにも良い影響が与えられるような形を作れたら"という思いから行動できた、新たな一歩と言えるかもしれません」
それだけ愛着を持たれていると、お客さんの反応も気になりますね?
「気になりますね。演目もですし、チラシに関しても夜中まで話し合いました。チラシは今までの現代的なものとまた違う、『お正月の歌舞伎らしい雰囲気を出したい』という思いを形にしました。やってみなければわかりませんが、今後につながる公演になるのではないかなと期待しています。」
これまでの新春浅草歌舞伎で印象に残っている役はありますか?
「どのお役も思い入れがあるのですが...初めてリーダー的な立場を勤めさせていただいた2015年ですね。その中でも『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目、勘平役でしょうか。見ている時はわからなかったのですが、他の方がお芝居をしている間も、台詞を言っていない間もずっと"自分が親を殺してしまったのではないか"という気持ちでいることが想像以上で辛くて。これだけ大変なことを何度もやっていらっしゃったのかと、先輩方の偉大さを感じました。」
12月に衛星劇場で、2017年の新春浅草歌舞伎より「双蝶々曲輪日記~角力場」の放送があります。
「『角力場(すもうば)』は2017年が2回目でした。1回目(2008年)に勤めさせていただいた時は、興行で主人公を演じるのがおそらく人生初めてでしたので、あたふたしていました。浅草での2回目(2017年)の時はその初心を思い出しながら、そして"あの時とは違う自分が出せるように"と舞台に立っていたことを覚えています。若旦那役は(中村)隼人君でした。見どころとしては、男の意地の張り合いみたいなところがあって、その情景が浮かぶようなセリフ劇ですね。当時の角力の雰囲気や仕組みも垣間見えますので、そのあたりが僕は好きです。お相撲さんの着物が異常に大きかったりとコミカルな部分や、最後の迫力のにらみ合いなど、見どころ満載です」
最後に、オフではどんなことをされているのでしょうか?
「これが、つまらない生活していますよ (笑)。東京では劇場と家の往復ですね。家では映画を見たりゲームをしたり、それから舞台を観に行くことが多いです。若い頃は時間があればフットサルや野球をしていましたけど、最近はできるだけ舞台の出番前は体力を温存したいですね。そんなこと言う大人にだけはなりたくないと思っていたんですけど...お休みは大事です(笑)」
12月28日(金)発売の「別冊カドカワ」では、尾上松也をはじめ「新春浅草歌舞伎」に出演する新世代歌舞伎俳優たちの役者としての姿勢からプライベートまで満載!
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出演情報
<公演情報>
新春浅草歌舞伎
日程:2019年1月2日(水)~26日(土)
会場:浅草公会堂
<放送情報>
双蝶々曲輪日記~角力場
放送日時:2018年12月25日(火)16:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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