坂東巳之助中村隼人が歌舞伎で「NARUTO-ナルト-」の世界を体現!「お子さんも楽しんでいただければ」

中村隼人(左)/坂東巳之助(右)
中村隼人(左)/坂東巳之助(右)

歌舞伎俳優の坂東巳之助がうずまきナルトを、中村隼人がうちはサスケを演じた、2018年8月の新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」が2月にテレビ初登場。「NARUTO -ナルト-」は、体内に"九尾の妖狐"が封印された落ちこぼれの忍者・うずまきナルトが、里一番の忍である"火影"を目指す物語だが、今回の舞台はコミックス72巻分のストーリーを約3時間半の歌舞伎に落とし込んだ秀作。ナルトとサスケの人生、そして2人の運命が濃縮された舞台になっている。

今回、舞台の映像をご覧になっていかがでしたか?

坂東巳之助「そもそも僕らは舞台を見ていないので、映像で初めて見たんですけど(笑)、素直によく作ったなと思いました。舞台として面白くできているなと思いましたし、舞台でご覧になったお客様も改めて違う見え方がするのではないかと思いました」

中村隼人「映像として、よくまとめてくださったなと思いました。僕もほぼ出ずっぱりだったので通しで見たことがありませんでしたし、それを映像で見て、すごくよい歌舞伎になっているなと感じました」

お2人はバッチリ「NARUTO」世代かと思いますが、今作でこだわった部分はどんなところですか?

巳之助「『NARUTO』の根幹の部分がお客様に伝わることです。ナルトやサスケの人生がちゃんと伝わることを前提として、その上でお客様にどう楽しんでいただけるか。僕らはスーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)にも出させていただきましたが、『ワンピース』のストーリーは具体的に盛り上げやすい部分を取り上げていました。しかし、『NARUTO』は一つの物語を完結させているので、"隠"の部分がどうしたって前に出てくる。ですので、大いに隠の部分を出し、シリアスな世界観を楽しんでいただくことを意識しました」 

隼人「『ワンピース』とは作品の持っている性質が違いますからね。原作の岸本(斉史)先生もおっしゃっていたのですが、特に僕が演じたサスケは72巻ある中の、いろんなしわ寄せを背負ったキャラクターでしたので、(脚本・演出の)G2さんと一緒に頑張って、濃い芝居にすることができたのではないかと思います。それから忍者モノなので、アクション部が中心となって立廻りを考えたり、ナルトの影分身などでは歌舞伎らしいアナログでの演出を意識していきました」

巳之助「全72巻分のナルトとサスケの生きざまをかっこいい方向で見せようという意識を、全員が共通して持っていたと思います」

アクションに感情が乗っていて、より感情移入できる立廻りになっていたように思いました。

隼人「サスケとナルトはぶつかり合うことでしか、分かり合えない2人ですからね。そのシーンは今でも印象に残っています」

お2人は稽古の段階からG2さんとセッションなさったそうですが、どんなアイデアを出されたんですか?

巳之助「G2さんは原作をものすごく読み込まれていらしたので、ストーリー面でアイデアを出したことはありませんでした。むしろ、演出でのマイナス面ですね。G2さんは歌舞伎がお好きなので、こういうことをやってみたい、ああいうことをやってみたいとご提案されたので、それはこの場面ではやらない方がいいですねとお伝えしたり。今回、映像で見ていただくのは残った部分ということですね(笑)」

隼人「僕らが提案したのは照明などの細かい点ですね。舞台が全体的に明るかったので、そうするとプロジェクションマッピングが効かないところがあったので、代わりにピンライトにしてもらったり。それから、四代目火影が出てきて...」

巳之助「俺?」

隼人「そう。そこも地明かりで明るかったので、どこにいるのか分かりにくくなる。そこは(市川)猿之助兄さんがおっしゃったんですけど、変えていただいたりしました」

では、お気に入りのシーンは?

巳之助「僕の立場としては全部としか言えないですね(笑)」

隼人「僕も全部なんですけど(笑)、その中で挙げるとすると、ナルトの出生の秘密が明らかになるところです。舞台上にいて、お客様が引き込まれていくのが見えた瞬間だったので、とても印象に残っています。それから、立廻りは否が応にも見どころにもなると思います。あとはサスケがお兄ちゃんを大好きすぎる件ですね(笑)」

今作では、うちはマダラを市川猿之助さんと片岡愛之助さんがWキャストで演じており、その両方が放送されるのも見どころです。

巳之助「お2人はどちらもマダラなんですけど、全然違うんですよ。猿之助さんの方が原作の復活した方のマダラに近くて、愛之助さんの方がどちらかというと生前のマダラっぽい」

隼人「猿之助兄さんのマダラは洗脳していくタイプで、愛之助兄さんのマダラは説得する、説き伏せるタイプ。だから、お2人の違いは...」

巳之助「顕著だよね」

隼人「猿之助兄さんのマダラは人の目を見て話さず、状況を想像させるような感じで、愛之助兄さんのマダラは相手の目をガッと見て、入ってくる感じ。だから、昼夜公演で全く違って面白かった。愛之助兄さんが人間最強の存在になったとすると、猿之助兄さんは人間を超えた存在になったような印象があります。立廻りも全然違ったので、比べて見るとより分かると思いますよ」

今回の放送で初めて歌舞伎に触れられる方もいらっしゃるかと思いますので、メッセージをお願いします。

巳之助「正直に言えば、6月に京都南座での再演が決まっていますので、映像をご覧になって生も見たいと思っていただけたらうれしいです。舞台で見て面白く感じられるように作っているものですので。例えば、体感することも舞台ならではの楽しみの一つとして、本水での演出などを取り入れましたし。今回は"舞台であること"を映像で楽しんでいただければと思います」

隼人「歌舞伎はアナログですが、そのアナログの中でも大きなセットを使用したり、歌舞伎独特のものを使用しています。理想は映像で興味を持っていただいて劇場に足を運んでいただくことですので、歌舞伎は敷居が高いと感じていらっしゃる方には特に衛星劇場で見ていただいて...」

巳之助「劇場に行くより、はるかに手軽だからね!」

隼人「そう。そして、生で見たいと思っていただけたらいいなと思います」

巳之助「お子さんにも楽しんでいただけたらいいですね。実は今のお子さんは『NARUTO』世代じゃないので」

隼人「そうなんです!『NARUTO』を知らないんですよ!」

巳之助「僕らが『NARUTO』世代だからね(笑)」

隼人「また『NARUTO』の時代が来るように頑張って広めていきたいです。いい作品は時代を超えて残ると思うので。それに『NARUTO』は日本特有の忍者を題材にしているので、作品の力は多いにあると思うんです。その力を借りて、歌舞伎としてもいい方向に進めていけたらと思います」

巳之助「6月の京都南座での再演は、パワーアップはもちろんですが、劇場が新橋演舞場とは全く違いますので、南座仕様に変えていきます」

隼人「劇場自体も改築されて新しくなっていますので、お楽しみに!」

文=及川静 撮影=山田大輔

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放送情報

新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-~序幕」
(うちはマダラ=猿之助) 2019年2月11日(月)16:00~
(うちはマダラ=愛之助)  2019年2月13日(水)16:00~
新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-~二幕目・大詰」
(うちはマダラ=猿之助)  2019年2月11日(月)17:45~
(うちはマダラ=愛之助)  2019年2月14日(木)16:00~
※(うちはマダラ=愛之助)は2月22日(金)16:00~、「序幕~大詰」までの通し放送もあり
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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