「仮面ライダーディケイド」で井上正大が学んだ"1人の人間"を表現する難しさ

「仮面ライダー」出身俳優の多くは、そのまま映像の世界へと残り、ドラマや映画へと活躍の場を広げていく。その一方で、"ナマモノ"と呼ばれる舞台演劇の世界へと足を踏み入れ、日々変化を伴う芝居に挑戦するものもいる。そのうちの1人が、「仮面ライダーディケイド」で門矢士(つかさ)/仮面ライダーディケイドを演じた井上正大だ。

そもそも井上正大は俳優としてのキャリアを、実は舞台からスタートさせている。2008年にミュージカル「テニスの王子様 The Imperial Presence 氷帝 feat.比嘉」跡部景吾(Bキャスト)役で俳優デビューを果たした井上は、翌年2009年放送の「仮面ライダーディケイド」で主人公・門矢士/仮面ライダーディケイドに抜擢。その後映像では、ドラマ「IS~男でも女でもない性~」(2011年)や映画「空の境界」(2013年)などに出演し、舞台では「舞台『青の祓魔師』~青の焔 覚醒編/京都 不浄王編~」(2014年)や「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE~さよなら絶望学園~」(2015、2017年)などで経験を積んできた。

その井上は2018年に芸能活動10周年を迎えたわけだが、活動初期に出演した作品が先述の「仮面ライダーディケイド」だ。本作は、平成仮面ライダーシリーズ10周年記念・平成仮面ライダーシリーズ10作記念作品として制作された節目の作品。現在放送中の「仮面ライダージオウ」に先駆けて、2000年~2009年に登場した計9人のライダーとのクロスオーバーを果たしており、他にもオリジナル版のキャストが出演するなど、大きな反響を呼んだ。

(C)2009 劇場版「ディケイド・シンケンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・東映

さらにシリーズの劇場版となる「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」(東映チャンネルにて4月28日(日)に放送)では、「昭和仮面ライダー」や闇組織・大ショッカーともクロスオーバー。謎の洋館にたどり着いた門矢士(井上正大)らは、そこで士を兄と呼ぶ一人の少女に出会う。しかしこの世界は崩壊の兆しを見せており、それを防ぐためには最強のライダーを1人決めなくてはならないという。崩壊を食い止めようと立ち上がった士は、数々の仮面ライダーたちとのライダーバトルを繰り広げる。

本作で井上は、記憶を失いながらも9つの並行世界をめぐり、世界を消滅から救おうとする門矢士を熱演。士はどこか独善的かつ偽悪的であり、演じ方次第では"ヒーローらしさ"を損ねやすいキャラクターだが、井上はそんな士の内に秘めた人間性についてもよく理解していたように思う。

士は確かに一見すると不遜な面ばかりが目立ってしまうキャラクターだ。しかし、一方では記憶を持たないことによる空虚感や、"破壊"という本質ゆえの周囲との軋轢を抱え、さらに反対の"再生"という希望をも内包している。この部分だけを取り立てると誇張された人格のようにも感じるが、井上はそれを、自身の引き出しを懸命に使い等身大の人間として表現。この井上の演技があったからこそ、視聴者は士に愛着が持てたのではないだろうか。

「ディケイド」で士という1人の人間に寄り添い丁寧に演じきった井上は、現在俳優活動を行う傍ら演劇ユニット「銀岩塩」にも参加。「牙狼<GARO>」シリーズでは御影神牙を演じており、2019年1月に公演を行った「銀岩塩Vol.3 LIVE ENTERTAINMENT『神ノ牙-JINGA-転生』~消えるのは俺じゃない、世界だ。~」で総指揮、演出、主演を務めた。そして7月には「斬劇『戦国BASARA』天政奉還」への出演も控えている。役者として、そして演出する側としても舞台演劇で活躍を見せる井上。その井上が等身大の姿で挑戦し演じきった「ディケイド」を、この機会に再注目したい。

文=椋鳥

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放送情報

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー ディレクターズカット版
放送日時:2019年4月28日(日)12:00~
チャンネル:東映チャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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