現在放送中のドラマ「あなたの番です」で話題の原田知世。50歳を過ぎてもかわいらしさを失わない彼女だが、そんな原田知世が学園ものアイドルから大人の女優へ一歩踏み出した記念碑ともいえる作品が、映画『早春物語』(1985年)だ。
原田知世は、角川映画のオーディションで特別賞を受賞し、14歳のときにドラマ「セーラー服と機関銃」(1982年)で主演デビューすると同時に、主題歌「悲しいくらいほんとの話」で歌手活動も開始。翌年にはスクリーンデュー作『時をかける少女』(1983年)が大ヒットし、日本アカデミー賞ほか各映画賞の新人賞を受賞。松任谷由実が提供した映画主題歌「時をかける少女」も大ヒットし、アイドル女優「角川三人娘(薬師丸ひろ子・渡辺典子・原田知世)」として人気を博した。
■17歳の女の子が42歳の男性に恋をする!
『早春物語』は彼女の4本目の主演映画で、17歳の女の子が、林隆三演じる42歳の中年男に恋をするという赤川次郎原作の物語。主人公・沖野瞳と同じ17歳だった原田知世は、「今までの役は自分に近かったけれど、瞳は、自分自身とはあまりに違う女の子」と、当時のインタビューで語っていたが、ピュアな学園映画のヒロインを演じてきた17歳の少女にとって、亡母の恋人だった男に「お母さんとしたことと同じことして!」と迫るのは、当然のように戸惑う行動だった。
澤井信一郎監督は制作発表会見で、「17歳という年齢だけが持つ悪女性を出したい」と語っていたが、原田自身は学園ドラマのヒロインから、大人に興味津々のちょっと背伸びした役柄に悩みも多かったようだ。それはファンの立場としても同様で、アイドル女優の初キスシーンの相手が年齢差のある男性というのもショッキングだった。
■歌手としても透明感あふれる歌声で魅了
この『早春物語』の主題歌「早春物語」で、第36回NHK紅白歌合戦に初出場したが、原田知世は、「時をかける少女」、「天国にいちばん近い島」など主演作の主題歌でヒットを飛ばす歌手でもあった。
1992年にはムーンライダーズの鈴木慶一のプロデュースでアルバム『GARDEN』を制作。その独自の透明感のある歌声でサブカル界隈のミューズ的な存在となり、後にはYMOの高橋幸宏のバンドに参加するなど音楽活動にも本腰を入れ、現在もソロ歌手として音楽活動を続けている。
清純派アイドル女優としてデビューし、いつまでもそのかわいらしさを失わない原田知世。彼女のみずみずしさが感じられる10代の作品も見てみては?
文=坂本ゆかり
放送情報
早春物語
放送日時:8月6日(火)20:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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