女形、殺陣、演技‥早乙女太一が劇団朱雀復活公演で見せた多彩な魅力

舞台を中心に、TVドラマや映画などで活躍中の俳優・早乙女太一。彼が二代目座長を務める劇団朱雀は、2015年に多くの大衆演劇ファンに惜しまれつつも、劇団員のさらなる進化を目指して解散の道を選んだ。

それから5年の歳月を経た2019年冬、さまざまなフィールドで研鑽をつんだ劇団員と豪華ゲスト、そして劇団☆新感線の座付き作家である中島かずき、スーパー歌舞伎なども手掛ける劇団・扉座の主宰、横内謙介の脚本を得ての復活公演が、東京を皮切りに全国4ヵ所で上演され、大盛況のうちに幕を下ろした。

(C)劇団朱雀

早乙女太一が総合プロデュースに加えて、演出、振付、脚本も手掛けた今回の復活公演は、トータルで3時間に迫る大ボリュームの3部構成で行われた。一部は、女形の舞踊ショーで、冒頭から、椎名林檎の楽曲「暗夜の心中立て」と共に、妖艶な花魁姿の早乙女太一が登場するという、ゴージャスな演目で始まる。

"流し目王子"の異名をとる、視線やまばたきなどの繊細な表現も駆使した彼の妖艶な踊りはもちろん、弟の早乙女友貴や妹の鈴花あゆみをはじめとする劇団員との息もぴったりな絢爛豪華な群舞に言葉を失うこと確実だ。また、早乙女兄弟妹を芸の道でも育て、長年劇団朱雀を支えてきた父・葵陽之介と母・鈴花奈々による、円熟の舞踊も見逃せない。

2部の日替わり芝居は、中島かずきによる「火のないところに男は立たねえ」、横内謙介が手掛けた「安兵衛駆けつけ・高田馬場の決闘」、そして早乙女太一脚色による「遠州森の石松 馬鹿は死ななきゃ治らない」の3演目が登場。

当日、幕が上がるまでどの演目が上演されるか明かされないという観客へのサプライズも込められた2部で上演されるのは、時代劇をベースとした、誰もが心から楽しめる人情ドラマ。なかでも、劇団員の岩崎祐也と客演の富岡晃一郎というコミックリリーフを担う二人、そして今回、大衆演劇初挑戦となる木村了の熱演に注目。

米米CLUBの「MATA(C)TANA」で幕を開ける、全員出演による舞踊ショーが展開する3部では、日舞メインの一部と打って変わり、現代的な衣装での圧巻のダンスが息つく間もなくステージ上で繰り広げられる。木村了をセンターに迎え、客演メンバーも参加しての「お祭り忍者」では、全身全霊を燃やし尽くす勢いのパフォーマンスに大きく心揺さぶられるだろう。

そして、早乙女太一が独自の世界観で、それまでの空気を一変させるエネルギーを放ち魅せる舞踊と、早乙女友貴と異口同音に「兄弟じゃなきゃできない」と言う、超人的ハイスピードの殺陣や剣舞、華やかな群舞という、怒涛のクライマックスに、ただただ圧倒されるはずだ。

「何もできなくても命を懸けてやれば、何かしらのものができる」という早乙女太一の熱い思いが燃えさかる、史上最高のエンターテイメントといっても過言ではない、劇団朱雀の復活公演。日替わり芝居の各公演が、スカパー!オンデマンドで配信されることが決定。何度観ても決して飽きることのないステージを心ゆくまで堪能して欲しい。

文=中村実香

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放送情報

劇団朱雀復活公演~中島かずき脚本~「火のないところに男は立たねえ」
放送日時:3月22日(日)18:00~
チャンネル:BSスカパー!
劇団朱雀復活公演〜早乙女太一脚色〜「遠州森の石松 馬鹿は死ななきゃ治らない」
放送日時:3月28日(土)15:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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