コラム二スト・吉田潮が語る、中村倫也主演ドラマ「ハリ系」の魅力

「ハリ系」より
「ハリ系」より

サルから進化した人を"サル系"、ハリネズミから進化した人を"ハリ系"と呼ぶ世界が舞台のファンタジー。人気俳優・中村倫也(当時は中村友也)の連ドラ初主演作だ。
 
中村演じるハリ系青年の耳田ハリ彦は、優し過ぎる性格と自信のなさから恋も仕事もうまくいかない。仕事は鍼灸師見習い。祖母・ハリ江(もたいまさこ)は、そんな不器用な孫を心配している。

同じ種族同士で結び付くのが定石だが、ハリ彦はサル系のすず子(村川絵梨)と恋に落ちる。前例のない恋に、幼馴染の亮介(松澤傑)は猛反対。近所では、ハリ系を敵視、排斥運動を展開するおばさん(池谷のぶえ)もいるのだ。種族の違いは障壁に。

ハリ系は感情が高ぶると背中のハリが逆立つ。命の危険や恐怖を感じると、球状に丸まる。すず子をハリで傷つけてしまったこともあり、ふたりの恋はなかなか前に進まず。まあ、とにかく中村がよく泣く。いくじなしの泣き虫という役を頼りなさ全開で体現。着ぐるみ姿も表情も、このうえなくかわいらしい。

優柔不断で弱気なハリ彦を支えるのは、ハリ江の弟子のシゲさん(吹越満)や、鍼灸院の常連客(車だん吉、堀部圭亮、皆川猿時)。もうこの面々だけで秀逸コメディが確立。さらに恋愛指南をしてくれるのが、ワニ系最後の1人・鰐淵さん(田口トモロヲ)。モテモテのダンス講師だが、実は本当の恋を知らない。ちょっぴり切ない人だ。

ただのコメディで終わらない。この恋には過酷な試練が訪れる。謎のウイルス感染が広がり、デマによってハリ系が迫害される。ハリ彦は差別と誹謗中傷に苦しむのだ。コロナ禍の今だから、真剣に考えたいテーマでもある。

よしだ・うしお●'72年生まれ。ドラマ好きのコラムニスト兼イラストレーター。週刊誌や新聞でテレビ・ドラマ評を執筆。時々テレビにコメンテーターとして出演。著書「くさらないイケメン図鑑」など著書多数。ネコ2匹と同居中。

文=吉田潮

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放送情報

ハリ系
放送日時:2020年7月21日(火)20:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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