キスシーンも話題に!沢田研二が『魔界転生』で放った妖しい魅力

1970年代から1980年代にかけて「勝手にしやがれ」「カサブランカ・ダンディ」「TOKIO」など、ヒット曲を連発し、スーパースターの呼び名をほしいままにしていたジュリーこと沢田研二。そんな彼が人気絶頂だった1981年6月6日、俳優としての代表作となる一本の映画が公開された。その作品こそ、『仁義なき戦い』などで知られる深作欣二監督がメガホンをとった『魔界転生(1981)』である。この作品が12月12日(土)東映チャンネルにて放送される。

『魔界転生(1981)』に出演した沢田研二

(C)東映

余談であるが、もともと本作は6月13日公開予定だったというが、初日が6月6日に繰り上げられることになった。当時販売された本作パンフレットに掲載されている角川春樹プロデューサーのコメントによると、「東映が、6月6日の6時からやりたいと言ってきた。どうしてかというと、666のオーメンだ(笑)」という裏話があったようだ。さらにいうと、6週間ロードショーというおまけもあったという。同作の反響は非常に大きく、動員200万人、配給収入10億5000万円を売り上げる大ヒットを記録した。

山田風太郎の原作をもとに、千葉真一、沢田研二、若山富三郎、緒形拳、真田広之、丹波哲郎ら豪華俳優陣が勢ぞろいしたアクション時代劇だ。沢田が演じるのは、島原の乱で幕府軍に敗れながらも、魔界からよみがえった天草四郎時貞。彼は黒魔術によって細川ガラシャ、宮本武蔵、宝蔵院胤瞬らを呼び出して魔界衆を結成。幕府転覆を謀ろうとする彼らの計略を知った柳生十兵衛が彼らに立ち向かう......という伝奇ロマンだ。

(C)東映

先述した通り、当時のジュリーは人気絶頂だったが、この映画のために40日間にわたる京都撮影所での撮影に没頭したという。彼は華麗な衣装に身をまとい、グラマラスなメーク、甘い語り口などで天草四郎時貞を体現した。その魅力をひと言で表すならば「妖艶」のひと言。おそろしさとともに、どこか黄泉(よみ)の世界へ吸い込まれそうな妖しい魅力がある。また、真田広之との男性同士のキスシーンも話題を集めた。

(C)東映

そしてなんといっても本作クライマックスにおける、天守閣炎上のシーンが迫力のひと言。スタジオに建設された天守閣のセットには、プロパンガスや灯油、ガソリンなどが用意され、それらの炎がごうごうと燃えさかる。その撮影は三日三晩にわたって行われた。あまりの火力にジュリー自身も手の甲にやけどを負うほどだったという。もはや戦いとも言うべきスタッフの献身的な努力のかいがあって、業火のごとく燃えさかる炎のシーンは、今でも映画ファンの語り草となる強烈なシーンとなった。

文=壬生智裕

この記事の全ての画像を見る

放送情報

魔界転生(1981)
放送日時:2020年12月12日(土)11:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

関連人物