NHK朝の連続ドラマ小説「半分、青い。」などの作品で一躍ブレイクし、人気絶頂の中村倫也。
端整なルックスと甘い声でファンを虜にしている彼だが、演技に関してはコメディからシリアスな役まで変幻自在にその姿を変化させている。
そんな高い演技力がいかんなく発揮されたのが今年6月に公開された映画『水曜日が消えた』。同作で彼は曜日ごとに1人の人間の中で人格が入れ替わるという難役にチャレンジしている。作中ではそれぞれが個性的な性格を持つ7人の"僕"を見事に演じ分けていた。
常に完璧な役作りをみせる中村の出演作「凪のお暇」と「初めて恋をした日に読む話」が、12月のTBSチャンネル1に登場。その放送を前に、あらためて両作における中村の演技を振り返っておきたい。
「凪のお暇」の安良城ゴンは、"メンヘラ製造機"の異名を持つ天性の人たらし。聞き上手で独特のユルい空気感に誰もがハマってしまうが、これは本当に人を好きになった経験がなく、誰にでも優しく接してしまうため。ある意味では恋愛初心者ともいえる奇跡のモテ男なのだ。対して、「初めて恋をした日に読む話」の山下一真は元ヤンの高校教師。悪事も挫折も経験し、時には自身の過去を自虐的に笑う余裕があり、自然体でシレッと女性を褒めることができる姿はいかにも恋愛経験が豊富な大人の男といった感じだ。
いずれの作品でも、ヒロインを巡って複雑な恋愛関係に陥るモテ男という点では共通している。しかし、アプローチという点では差を見てとることができた。
自分とかかわっても闇落ちしない大島凪(黒木華)が頭から離れないゴン。凪のことを考えると胸がチクっと痛むも、それが恋だと指摘されるまで自分の気持ちすらはっきりとわからない。故に、涙を流しながら凪を振り向かせようとする姿からは、青臭さもひしひしと伝わってくる。一方の一真はといえば、"ちょっと妬いただけ""チューしていい?"など緩急自在の駆け引きを繰りだして、春見順子(深田恭子)にアタック。後に、思わぬ展開でファンをあっと言わせたが、そんな時でも大人な対応に終始している。
どちらが好みかは個人によって意見が分かれるところだが、1つ言えるのはどちらの中村も非常に魅力的であるということ。実際にはこうした男性はそうそういないだろうが、画面越しに"もしも身近にいたら"と思わずにはいられない。
文=安藤康之
放送情報
凪のお暇
放送日時:2020年12月25日(金)11:00~
土俵ガール!
放送日時:2020年12月25日(金)20:00~
初めて恋をした日に読む話
放送日時:2020年12月31日(木)11:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
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