千葉雄大の演技が光る!震災から10年の節目に見たい力作ドラマ

2021年は東日本大震災から10年の節目にあたる。そんな中、東北放送が制作したtbcテレビの60 周年記念ドラマ「小さな神たちの祭り」に注目したい。

同作は令和元年度文化庁芸術祭テレビドラマ部門優秀賞を受賞した作品で、さらに2021年1月発表のアジア最大のテレビ番組コンペティション「第25回アジアテレビジョンアワード」においても、単発ドラマ/テレビムービー部門で、最優秀作品賞を受賞するなど、国際的な評価を得た力作である。この作品が、3月8日(月)に映画・チャンネルNECOで放送される。

被災地・宮城県の放送局として、「震災を風化させない」というメッセージを「ドラマ」という形で発信した同作。同局でオリジナルドラマを制作するのは、じつに22年ぶりのことだったという。震災で家族全員を失い、決して拭い去ることのできない悲しい記憶を抱えつつ、再び前へと歩む東北の人々の希望を、1人の青年の姿を通して描き出している。

「小さな神たちの祭り」に出演した千葉雄大ら

(C)tbc

同作の主人公・谷川晃を演じたのは、宮城県出身の千葉雄大だ。彼は内館牧子が手掛けた脚本を読み、「絶対に取られたくない役」と感じたと言うほど、意欲的に晃役に全力投球したのだとか。

千葉といえば"小悪魔男子"的なイメージが強いものの、デビュー作の「天装戦隊ゴセイジャー」の撮影時には、出番終了後に何時間も撮影現場を見学していたというほど、真面目に仕事に取り組む実直な一面を持っている。

近年では、2018年の映画『スマホを落としただけなのに』と、その続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』での加賀谷学役、2020年の「いいね!光源氏くん」(NHK)の光源氏役などの作品で、より表現力を増した感がある。

(C)tbc

本作「小さな神たちの祭り」は、宮城県南部の町・亘理を舞台に、家族全員が震災で津波に呑まれるという主人公・晃を千葉が演じている。大学を卒業後に東京で就職した晃だが、仕事に挫折し、仙台で働く毎日。そんな彼は、東京や仙台の人々が、もう震災を忘れてしまっているように感じられていた。失った家族のことを思うと、「自分だけが生きていていいのか」という思いが消えず、前向きに生きることができずにいたのだ。そんな彼の支えは、仙台で知り合った恋人の岡本美結(土村芳)だった。彼女を愛しながらも家族のことを考えると、どうしても、自分だけが幸せにはなれないと結婚には踏み出せない。

そんな晃の複雑な心情を、千葉はひたむきに演じストレートに伝えてくれる。同作で共演した吉岡秀隆は、「千葉くんが晃の悲しみを背負って演じているのが胸に迫ってきた」と評している。千葉の演技の凄みはまさにそこで、共演者を力強く演技に引っ張りこむことができる稀有な俳優だと言えるだろう。

震災の記憶から心に闇を抱える青年の物語という、重いテーマをはらんだ本作だが、ファンタジーの手法を取り入れて、巧みな演出と演技の力で見事な再生の物語として完成している。災害からの心の復興というテーマに対して、テレビドラマはどんな救いを見せるのか、本作はその答えの1つを見せてくれた貴重な作品だ。各方面で賞賛されたこともうなずける出来栄えであり、震災の記憶を風化させないためにも見たい作品だ。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

小さな神たちの祭り
放送日時:2021年3月8日(月)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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